glad to CU! | 猫の島調査報告書

猫の島調査報告書

月夜にささやかな酒宴 ことのは積み上げ十年目

その昔、
本屋でエラリー・クイーンの隣にあったから手に取った本。


「月光ゲーム Yの悲劇'88」/有栖川有栖/東京創元社、創元推理文庫。

猫の島調査報告書-月光ゲーム.jpg

さて、第1長編です。
学生・有栖川有栖(以下、アリス)&英都大学推理小説研究会、通称EMCが登場する学生アリスシリーズ。
青春スーツ完全装着。


デビュー作と書こうとしたら「焼けた線路の上の死体」がデビュー作だと解説の山前譲が言う。年的にそのとおり。
でも実質デビュー作だし、こちらを先に読むよろしね。


タイムリーで嫌だが、
さらっと内容を箇条書きしよう。
・親睦合宿先の山に集まる各地の大学生たち
・ところが急転直下、噴火により陸の孤島と化すキャンプ場
・度重なる噴火による恐怖と実害
・行方不明者の発生

・そして死体。

見えない殺人者に脅かされる大学生たち。
しかしクローズドサークルの中では全員が容疑者と同義。その中にはアリスが淡い恋心を抱きつつある相手もいたり。


スタンダードな推理小説です。
無駄肉なし。ガチガチロジック派。
小説としての難を言えば登場人物が多いことか。(漫画化は無茶だった)



読者への挑戦を挟み、ただの謎解きではなく「事件を納める解決」へと。

事件の幕切れはEMC部長・江神の腕に委ねられるが、彼は謎解きをする義務もなければ、滔々と推理を披露する自己顕示欲に溢れている人間でもない。ただそこに居合わせて謎が見通せてしまった探偵である。
そして探偵であることを自覚している探偵だ。

人情噺ではなく論理的解決を語って悪感情を持たれない探偵が何人いるだろう。
稀有な探偵だと思う。