あたたかなディナー | 猫の島調査報告書

猫の島調査報告書

月夜にささやかな酒宴 ことのは積み上げ十年目

「タルト・タタンの夢」、
「ヴァン・ショーをあなたに」/近藤史恵/東京創元社。



時期もいいし、積ん読からシリーズものを選ぶ。
美味しいものを食べたくなる(*´ρ`)


クリスマス関連は、「ガレット・デ・ロワの秘密」(「タルト・タタン~」に収録)と2巻目表題作の「ヴァン・ショー~」。
ヴァン・ショー(=スパイスの効いたホットワイン)は作中何回も出てきていて最後に表題作が出されるので、シリーズものいいなぁと思います。

フェーブものは最近だと上田早夕里の「ショコラティエの勲章」でもあった。
あれは数が増えて、こっちは減って。
(全体に地続きかと思える世界だなぁ。「タルト・タタン~」にもショコラティエが出てくるしね。)
hide&seekやからミステリにうってつけの小道具です。地域に寄って降誕節や冬至にお粥に金貨を入れることがあるんだが、これも基本は一緒やんなぁ。



思いがけず猫がしっかり登場する話もあり、読んで良かったと思えた。
(大変悲しい内容の話なんですが)


ミステリとしては、謎をバーンと提示していないケースが多いから、さらさらっと謎解きまで済んでしまう。
また、日常の謎としても少し人情に寄っている方向。

の割にキャラ書き分けが類型的な印象でした。
特にバイトウェイターと「ヴァン・ショー~」の語り手の区別は付けにくい。これはわざとかな? 読み終わったら忘れそうとまではいかないけど、ふーん、で終わってしまった話もある。
さらっといい話が読みたい人向けか。


最近積ん読タワーを崩しているので新刊をほとんど読んでいない。あ、一応「ゴールデンスランバー」(/伊坂幸太郎)は読んでます。面白かった!
いやでも、あれってミステリー? 広義ミステリーの懐深いね(笑)

タルト・タタンの夢 (創元クライム・クラブ)/近藤 史恵
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