今から四半世紀ほど前のこと、当時僕も愛読していたクルマ雑誌で

 「『アメリカでは動詞をモデル名に採用するなどありえない』と友人に言われた」

という投稿を目にしました。そこで、今回はこれまでに発売された国内メーカー車で動詞の名前を冠された車種(大半が英語ですが)をリストアップしてみます。

★ダイハツ工業「ムーヴ」(MOVE:動く、移動する、動かす、感動させる…他)

 すっかりお馴染みのスズキワゴンR対抗モデルとして誕生したセミハイト系FF軽乗用車。初代から右後席ドアも備えた全車5ドアボディとし、使い易さをアピールしていました。次期型は後席ドアをスライド式に変更して登場するそうです。

 上記の投書でもこちらのリヤエンブレムを4文字読んで驚いたとの文言が添えてありました。

★トヨタ自動車「ウィッシュ」(WISH:願う、祈る)

 ホンダストリーム対抗モデルとして企画された、ステーションワゴン風の低屋根3列シートミニバン。天井が低い以外は初代イプサムとほぼ同じ5ナンバーベース(2代目のエアロ系グレードは3ナンバー登録)。キャッチフレーズも「みんなの願いを叶えたクルマ」でしたね。

 床の低いミニバンが徐々にウケなくなったこともあり、ライバル同様2代で絶版に。代替需要はホイールベースの延長された2~3代目シエンタが担っています。

★スズキ「キャリイ」(CARRY:運搬する、支える)

 ダイハツハイゼットと長年に亘り軽トラックナンバー1を争い続けている長寿ブランド。荷台下ミッドシップエンジンやロングホイールベース、ロボタイズドMT「AGS」など歴代モデルでメカニズムに紆余曲折がみられるのもキャリイならではの特徴ですね。かつてはワンボックスバンも同時展開していましたが、今では独立車種のエブリイに役割を譲っています。

 積載性や機動力などを競い合ってきたライバル車種がいまやハイゼットだけとなり、ちょっと寂しくなってきた近年の軽トラ市場。その一方、今度は海外のクルマ愛好家からも新たなジャンルの趣味グルマとして注目を集めているらしいですよ。是非、キャリイの名に恥じず歯を食いしばってほしいと思います。

★日産自動車「マーチ」(MARCH:行進する)

 約40年間に亘り、日産の屋台骨を支えてきたA~Bセグメントハッチバック(最後の4代目はタイから逆輸入)。マーチの名は一般公募で決まったものとか。世界戦略車としてもマイクラの名で展開され、そちらは新型(5代目)が発売されていますが、格上の「ノート(NOTE:メモする、気づく。現行3代目はハイブリッド専用車)」よりも横幅が嵩んでいて3ナンバーになるため日本には導入されません。

★本田技研工業「インスパイア」(INSPIRE:励ます、ヒントを与える、息を吸い込む)

 クリオ店扱いのDセグメントセダン「アコード(ACCORD:一致する、矛盾点が無い)」シリーズに追加された4ドアハードトップ。後に3ナンバー専用の独立車種へと移行、1998年のフルモデルチェンジでは米国生産(現地ではアコードとして発売)の窓枠付きセダンになりました。

★ダイハツ工業「エッセ」(ESSE:生活する[ラテン語]、「これが○○だ」[ポルトガル語、三人称扱いで主語の機能が含まれている])

 リーザやオプティの廃止で上級移行気味だったミラに代わり、新たなベーシックモデルとして投入された軽ハッチバック。省燃費のための徹底した軽量化が図られた5ドアボディ、シンプルなインテリア、MT車を中心に据えたバリエーション構成が記憶に残っています。


 他にも三菱アスパイアとかいすゞフォワードとか色々挙げればキリが無いですね。