(@DIME)
オレは〈ファクサー〉〈カブラー〉〈ヤマトン〉〈スクラッパー〉〈シャー?ペーン〉である。
でも、ステッドラーではない
パソコンを使わず、イラストに文章にエロ趣味にと文房具を使いまくる、みうらじゅん氏に、@DIMEの新連載(http://dime.jp/genre/serialization/kurtz-sato/)でイラストを描いている、みうら永遠の後輩?カーツさとうが教えを請う!
みうら(以下“み”) オレはもう全ッ部の仕事を文房具でやるからさ。今の人はパソコンなんでしょ?
カーツ(以下“カ”) あ、いまだにパソコン使ってなかった?
み この年じゃ、今からパソコン覚える時間的余裕はもうない。だいたい、パソコンだと消しゴムかけてもカスが出ないんでしょ? ゴミが出ないなんて、そんなのニセモンだよ。
◎パソコンでは知り得ぬシャーペンストップ信号
カ そもそも、今のメインの文房具はなんなんですか?
み 原稿書いてるシャーペンは、『1.3mmの太いヤツ』。昔はもっと細かったけど、筆圧が強いんですぐ折っちゃうの。それも芯折るだけならまだしも、筒の部分まで。それでどんどん太くなってって、行き着いたのが1.3mm。でも、それで原稿書いてると……見てよカーツ。この右手のココんとこ。
カ 空手チョップの敵に当てる部分ですね。
み そこがさー、もう真ッ……黒ッ!! どれだけ原稿書いたかが手でわかる。相当書いた頃には『そろそろ休め』ってストップ信号が手に出る。でもパソコンは何字書いたってわかんないんでしょ?
カ パソコンだと、何行何文字書いたか、ズバリ表示されますが。
み あっそ、出るの……でもペンだこできないでしょ、パソだこ。
カ そんなのできなくていいよ。
み 見てよ、このペンだこ! シャーペンがのるように形を変えてんだから。
カ 中指なんかシャーペンのせる台みたいになってますねェ。
み で、こっちの親指にもできるのはほら、オレ、イラストで『カブラペン』使うから。
カ なんすか、カブラペンって。
み 一番普通のペン先だよ。オレ“カブラー”だからさ。インクレブロン12 『製図用インク』。もう全部決まってんです、昔っから。でもこれ、世界堂行かないと売ってない。
カ 新宿の画材屋さんね。製図も今やパソコンなんですがね。
◎ローテクブンボウガーみうらの衝撃の事実!
み カラーのイラストも、インクじゃなくて色鉛筆。色を重ねると、色が混ざるっていう色鉛筆があるから。『プリズマカラー』って商品でさ。
カ さすが、ちゃんと武蔵美を出ただけのことはありますねェ~。
み オレ原稿用紙も決めてるよ。これはもう絶対にコクヨ(『ケ-10』)、400字詰め。
カ 自分の原稿って、もう10年以上、モニターでしか見てないなァ。
み 原稿用紙って静電気起きることあるんだよね。だからファックスで原稿送る時に紙と紙がくっついちゃって、2枚同時にファックスが巻き取ったりするんだよ。でもコクヨの原稿用紙だと、それが少ない。
カ ファックスも珍しいすよ。
み もうオレの中の科学の進歩はファックスで止めたから。オレは“ファクサー”でもあるんだよね。
カ イラストもファックスで?
み イラストは送れないよ。イラストは、臼井さん(みうら事務所の秘書)がパソコンで送ってくれてる。だからイラストはさ、臼井さんが事務所に出てくる火曜と木曜しか送れないの。『イラストまだですか?』なんて催促の電話来ててもさ、それ実はイラストはできてて、ただ臼井さんが事務所に来てないだけで。『明日には完成』じゃなくて『明日には臼井さん』なんだよね。
カ 文房具の話に戻しますか?
み エロスクラップ(グッときたエロ写真を切り取り、効果的に組み合わせ、スクラップすることで“グッとくる度”を倍増させたみうらじゅんのライフワーク)も384巻までいったんだけど……。
カ 20巻から見てるな、オレ。
み つきあい長いからね、カーツとは。今でも全部コクヨの『ラ40』っていうスクラップブック使ってる。
カ 『ラ40』って商品名があること自体知らなかったっすよ。
み スクラッパー界では有名なんだけどね、その名称は。
カ スクラップ貼る糊もこだわってるっていってませんでした?
み よく聞いてくれたカーツ!! 糊はヤマト糊の『アラビックL』。オレ“ヤマトン”でもあるからさ。それも“L”じゃないとダメ。Lは先がちょっと曲がってんだよね。
カ “カブラー”だ、“ファクサー”だ、“スクラッパー”だ、“ヤマトン”だ、いろいろあるね!
み あと“シャー?ペーン”ね。
カ わからない人に言っとくと、俳優のショー?ペーンの発音ね。
み そう。最後に消しゴムは、トンボの『モノ消しゴム』ね。
カ それはオレもそうですね。
み フツーか? コレ。一時期ステッドラーの消しゴムを使ったんだけど、消す威力が強すぎて、消したくないインクまで消えちゃうことがあってそういう意味で、“カブラー”で“ファクサー”で“スクラッパー”で“ヤマトン”で“シャー?ペーン”でもあるけれど、ステッドラーではないってことさ。
カ どうでもいいよ、そんな話。
「糊でスクラップ貼った
ガビガビ感がいいんだよ」
みうらじゅん。1958年京都府生まれ。説明不要のミスターサブカル文化人。最近話題の“偽作曲家”に間違われて困っているらしい。
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■みうらさんの仕事は全部これらで!
●どんな筆圧にも耐えてみせます!
1.3mmのシャーペンは商品名不明。うっすら ぺんてる の文字。消しゴムも原稿用紙も、みうらこだわりのベストセラー商品。
●みうらのエロ心はオレが張る!
エロ用に384巻も使ったスクラップブックはコクヨ『ラ40』。『アラビックL』は、ボディーに光る大きな『L』の字が誇らしい!
●色が混ざってダディと化す!
テレビを見て、思わず描きたくなって描いた作品『ゴミ出ししてるビッグダディ』は色鉛筆『プリズマカラー72色セット』で描かれた。
「変なみやげ物買うなら
パソコンでも買ったら?」
カーツさとう。1963年東京都生まれ。本サイトにて連載「カーツさとうの週刊★秘境酒場開拓団」で挿絵も描く、ライター。絵心はないと自負している。
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■イラストもこのペンで
『パイロット小筆軟筆』と『プラチナ?プレスマン』。右はDIME5月号のイラストの下書きと、他誌で書いた菅原文太&キンキンの若き日。