まだ間に合う「アベノミクス銘柄」は | graybanのブログ

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(プレジデントオンライン)

PRESIDENT 2014年1月13日号 掲載

■成長戦略7分野の投資妙味をチェック

2012年に引き続き、13年も「アベノミクス」が相場を牽引した。5月に大きく下落する局面があったものの、12月に入って日経平均株価は再び1万5000円台を回復した。

「市場は第一の矢(金融緩和)と第二の矢(財政政策)についてはすっかり織り込んで、今は第三の矢(成長戦略)の行方を固唾を呑んで見守っている状況です」

と話すのは、株式アナリストの鈴木一之氏。安倍晋三政権が打ち出した「日本再興戦略」には重点的に成長を目指す7テーマが掲げられているが「投資対象という観点で見れば、注目すべきものと、さほどでもないものに分かれる」という。

「例えば、民間企業活力の復活、ビジネス環境の整備、雇用?女性?人材育成は、経済効果などの観点から投資のテーマにはなりにくい。一方で、通商の拡大?グローバル化推進、農林水産業を成長産業へ、エネルギー産業の育成、健康?医療産業の拡充は、大きなビジネスになる可能性があり、関連銘柄が物色されやすいといえます」

では、後者の4分野についてはそれぞれ、どんな銘柄に注目しておけばいいのだろう。

「通商の拡大?グローバル化推進」では、巨額プロジェクトとなるインフラ輸出、中でも「日本のお家芸ともいえる鉄道関連に期待したい」と鈴木氏。安倍首相も外遊先でことあるごとにトップセールスを繰り広げている。ど真ん中の銘柄は川崎重工と、東海旅客鉄道だ。

「農林水産業を成長産業へ」とするテーマでは、真っ先に思い浮かぶのは種苗や肥料のメーカーだろう。しかし、鈴木氏は「まださして投資家に目を付けられていないところ」として地方銀行株を推す。競争原理が持ち込まれれば、資金が動く。ここに活路を見出そうとしているのが、北海道?東北?九州などの地方銀行だという。

「官民が連携して農業の6次産業化(生産から加工?販売までを手掛ける)を推進する動きがあり、地方銀行がその中核として投資銀行的な役割を担いつつあります。復興需要も鑑み、岩手銀行や山形銀行など東北拠点の地銀株をパッケージで持っておくといいのでは」「エネルギー産業の育成」はテーマが広すぎて、本命が見つかりにくい。

「スマートグリッド」など目指すべきところはあるが技術的に要求されるレベルが高く、実現までの道筋が見えてこない。都市のシステムをまるまる変えられる力があるのは、東芝、日立、三菱重工などに絞られよう。

「スマートグリッドの核となる技術では、分散電源の発電用として燃料電池が注目されています。燃料電池には、これまで危険な水素をどう取り扱うかという難問がありましたが、千代田化工建設が有機溶剤に溶かして運ぶ技術を開発し、実現が近づきました」

最後の「健康?医療産業の拡充」では、ジェネリック医薬品や創薬ベンチャーなどが相場をにぎわせているが、鈴木氏は富士フイルムホールディングスを筆頭に挙げる。

「銀塩フィルムの衰退をデジカメでカバーするだけでなく『第二の創業』と位置づけ、会社の存在意義を大幅に変更しました。診断装置、がん治療薬、認知症治療薬など医療分野の成果が着実に表れています」

かつて家電製品の最大手だった米国のゼネラル?エレクトリック社は、いまや世界最大のコングロマリットに変貌を遂げている。同様に、かつて映像やゲームで隆盛を極めたソニーも、復権の目があるとすれば、医療用機器に注力する道ではないかというのが鈴木氏の読みだ。

企業が永く存続するには、環境の変化に応じ、しなやかに変身できる「レジリエンス」(復元力?弾力)が求められる。アベノミクスは産業構造の新陳代謝を促す。着々と成長の礎を築いている企業を見出したい。

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岡崎?鈴木パートナーズ代表 鈴木一之
1983年、大和証券入社。87年から一貫して株式トレードの職務に従事。インフォストックスドットコムリサーチ部チーフアナリスト、フィスコシニアフェローを経て現職。テレビ、ラジオ等で活躍。

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(渡辺一朗=文 和田佳久=撮影)