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サントリーニ島に住む夢をかなえるために。


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 初頭効果には、二つの側面がある。一つは、一般に後に述べられたことよりも、最初に述べられた特質のほうが、認識や評価の過程において大きな影響力を持つ傾向があるということだ。つまり、第一印象に大きなウェイトが与えられるのである。もう一つは、与えられる情報量が増加すると、情報に対する集中力が減少して、後からの情報に大きな注意が払われないことだ。
(最強のファイナンス理論、真壁昭夫、p.98)
 我々が意志決定する際には利用可能な情報に頼るが、その場合、どうしても、利用可能性の高い情報ほど過大に評価される傾向がある。
 例えば、バリュー株(割安株)ファンドという名前の投資信託があったとする。一般的には、バリュー株とは、注目度の低い、安値で放置されている株式のことを指す。バリュー株ファンドと名前がついているのだから、ファンドの中身は、安値で放置された、いわゆるバリュー株が組み入れられていると考える。ところが、実はそうではないこともある。よくあること(?)なのだが、ITバブル全盛期の1999年頃には、バリュー株ファンドと名乗っているにもかかわらず、成長性が高く注目度も高い、本来のバリュー株とは似ても似つかない、IT銘柄を沢山組み入れていたりする投資信託もあった。
 投資家の中には資産の構成比率をチェックせずに、バリューの名前でファンドを判断する人もいるだろう。投資信託の名前に含まれている情報は、情報として利用しやすい。しかし、保有株の構成内容は調べなければわからないので、情報としては利用しにくい。そのため、投信の名前は、実際に保有する株式の構成内容よりも利用可能性が高いということができる。
(最強のファイナンス理論、真壁昭夫、p.94)
 ヒューリスティックとは、簡単に言うと、物事をざっくり捉えることである。ざっくりなので、厳密には正確ではないかもしれない。意外なミスにつながることもあるだろう。
 一方、確率計算の誤りは、言葉通り、計算ミスのことである。実は、いろいろな実験から、ヒューリスティックや確率計算に起因するミスは、系統だって起きることがわかっている。我々の実際の生活で役に立てるために、どういう局面でミスが起きやすいかを理解することはとても重要である。それによって、自分のミスを防ぎ、また他人のミスに振り回されるのをさけることができるからだ。
(最強のファイナンス理論、真壁昭夫、p.90)

 特に重要なのは、ありがちな局面で、多くの人間が同じような心理的誤りを、繰り返し犯してしまうこともあるということだ。ここに法則性を見出し、それをいくつかの原理で、体系的に説明しようというのが「行動ファイナンス理論」の一つの目的である。
 なお、もう一つの目的は、先に述べた「投資必勝法探し」である。
(最強のファイナンス理論、真壁昭夫、p.57)
 心理学にはさまざまな分野があるが、行動ファイナンスで応用されるのは、主に認知心理学と呼ばれる分野である。
 認知心理学を一言で表すのはとても困難であるが、簡単に概念を頭に入れるとすれば、人間が物事・事象を目で見たり、手に触れたりして感じて、それを実際に認知する過程での心の動きを研究する学問、と言うことができるだろう。
 認知心理学について、「行動ファイナンス理論」を理解するために必要な部分を強調するならば、人は、
①どのように情報を受け止め
②その情報をどのように分類・解釈し
③その情報がどのように行動判断に影響するのか
 ということを研究するものと言えるだろう。
(最強のファイナンス理論、真壁昭夫、p.56)
 伝統的なファイナンス理論の修正をはかるという点で、重要な研究として、非対称情報の下での投資家行動の分析も指摘しておきたい。非対称情報とは、簡単に言うと、頼りになる情報をたくさん持っている人と、そうでない人がいるということを意味する。単純な例で言えば、東京のBさんが、大阪では金が安く売られていることを知らないという場合である。当然のことだが、その事実を知らなければ、彼は金を買いに大阪まで行こうとは思わないだろう。他にも、悪質な売り手が存在し、金の品質が不確かな場合、だまされるのを恐れて金の買い手が市場から消滅するケースなどが考えられる。
 非対称情報の考え方をファイナンス理論に応用した例を挙げると、「インサイダー情報をもっている投資家がいると、最悪の場合、市場での取引が消滅してしまう可能性がある」という理論がある。
(最強のファイナンス理論、真壁昭夫、p.47)

 インデックス・ファンドとは、例えば、市場に出回っている株式をすべて、同じ株数だけ買ってファンドを作ってしまう。つまり、市場そのものの縮小版を作ってしまうのだ。そうすると運用成績は、株式市場全体の動きと、理論的にはまったく同じになる。株式市場が5%上昇すれば、ファンドの成績も5%上昇する。
 このインデックス・ファンドのメリットは、一度ファンドを作ってしまうと、基本的に、それ以後の売買や面倒な管理を行う必要はないことだ。そうした手数がかからないため、ファンドの運営が安上がりなのである。
(最強のファイナンス理論、真壁昭夫、p.42)
 また、リスクを分散するという言葉を聞くことがある。これは、投資資金を複数の投資対象に振り分けることによって、リターンを下げることなく、リスクを減らすことを意味する。これが分散投資という手法である。
 例えば今、100万円の資金を投資する場合を考えてみよう。一つの銘柄の株式に全額投資すると、その株式が上昇すれば、大きな利益を上げることができる。しかし、一方、その株式が下落すると損失が発生してしまう。そこで、100万円をいくつかの銘柄に分けて投資すれば、ある銘柄が下落しても、そのほかの銘柄が上昇することで埋め合わせができることも考えられる。その分だけ、リスク分散ができたということになる。
(最強のファイナンス理論、真壁昭夫、p.41)
 金融理論の中では、一般的に、リスクとは予想と違った結果が出る可能性を指す。例えば、10%の投資運用利回りを期待して特定の株式を購入した場合、結果的に5%の収益しか上げられない、あるいは、運用利回りがマイナスになってしまう可能性をリスクと呼ぶ。
 ただし、間違えてはならないのは、リスクはあくまで、予想あるいは期待値からのぶれを指すのであって、必ずしも「思いもかけなかった損失」だけを指すわけではない。だから、予想以上の利益が上がった場合も、予想と違った結果が出るという意味でリスクに該当する。例えば、「5%の価格変動リスクがある」と言われたら、予想よりプラス・マイナス5%分だけ利回りが振れることを意味する。期待した利回りより、5%余計に利益を出す可能性もあるし、逆に5%分だけ利回りが下がることもある。
(最強のファイナンス理論、真壁昭夫、p.41)
 そこで、ここでは、オプションの価格モデルのような工学系の考え方以前に主流であった古典的な金融理論の一つを紹介する。それはCAPM(Capital Asset Pricing Modelの頭文字をとったもの、普通は「キャップ・エム」と読む)である。CAPMの直感的な出発点は、
①人は、リスクが多いよりも少ないほうを好む
②人は、リターンが低いよりも高いほうを好む
③分散投資をすれば、リスクを減らすことができる
 の三つである。この理論を、すべて詳細に説明することは本書の目的ではないので、ここでは、簡単に結論だけをまとめておく。その結論とは、
(A)リスクは、分散可能なリスクと分散不可能なリスクに分解できる
(B)分散不可能なリスクが高いほど、その投資から得られるリターンも高い
(C)市場インデックスと個別株のリターンの関係は、以下の式で表すことができる
個別株のリターン=β×{(市場インデックスのリターン)-(リスク・フリー・レート)}+(リスク・フリー・レート)
 β(ベータと読む)は、個別株の市場全体(マーケット・ポートフォリオ)の収益変化率に対する感応度である。つまり、株式市場全体の収益率が1%変化したときに、特定の個別株の収益率が何%変化するかという値だ。市場全体の収益率が1%上昇するケースで、当該株式の収益率が2%上昇すれば、β値は2ということになる。だから、β値はそれぞれの銘柄に特有の個別リスクと言うことができる。
 β値は基本的に、個々の株式ごとに違う値になる。また、分散不可能なリスクが高いほど、その値は高くなる。つまり、(B)と(C)は、基本的に同じことを言っているのだ。ただし、本書は伝統的なファイナンス理論を論じることが目的ではないので、リスクが高いものはリターンも高いという点だけ、頭に入れておけばよいだろう。
(最強のファイナンス理論、真壁昭夫、p.38)