ブラチーノの冒険 3/11 その一 | Эта музыка будет вечной - この歌は永遠に続く

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大好きなロシアのロックを毎日せっせと訳しています。リクエストも受け付けますので歌詞を知りたいロシア語曲がありましたらお気軽に!

パパ・カルロの歌の素敵なギターアレンジ見つけたよー!



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さて3/11を。
大のお気に入りのピェローくんの見せ場があるので必然的にキャプチャが増えます。



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「喜劇の途中でブラチーノはステージに乱入します。」

読み書きの本と引き替えにチケット代4ソリダをゲットしたブラチーノ、
そんなことなど露知らず、おうちでパパ・カルロはジョゼッペさんと話しています。
「ジョゼッペ、今日はわしらの祝日だ。わしらの子供が学校に行ったんだ。」
嬉しそうなパパ・カルロとは打って変わってジョゼッペさんは憂い顔。
「おまえが不憫だよ、カルロ。(以下ヒアリングできず)」
「なら帰ってくれ! 自分が塞いでるからってわしらの祝日まで台無しにするな!
 今にブラチーノが学校から帰ってくる。」
「ふうん、そうかい?」

ちなみにピノッキオオリジナルでもブラチーノ原作でも、
ジョゼッペさん(ピノッキオではアントニオ親方)の出番は導入部のみ、
パパ・カルロとずっと仲よくつるんでるのは私が知る限りこの1975年版だけです。
ブラチーノを「わしらの子供」と言いきってるし。

場面変わって人形劇場。
ブラチーノは最前列中央の席を確保し、他の観客と一緒にはやし立てる。
ところが舞台裏では座長で人形博士のカラバス・バラバスが
7叉の鞭を手に人形達をどやしつけています。

photo:01

「もう一度聞くぞ、どうやってわしの劇を演じるつもりなんだ?
 マリヴィーナとプードル犬のアルテモンはどこに逃げた?」

目を伏せるピェローくんとアルレキン。可愛い。
photo:02

「三つ数えろ、痛い目見せてやるぞ。1、2……」
震え上がる人形達。
しかし舞台裏まで観客の声が聞こえてきたおかげでカラバス・バラバスは思いとどまる。
「ふん、尊敬すべき観客のみなさんに感謝するんだな。
 だが劇が終わったら……覚悟しておけ!
 自分らで何とかしろ! 好きにするんだな!」

ステージにピェローくん登場。とても可愛い。
photo:03

「こんにちは、敬愛する観客のみなさん。」
客席からブラチーノも「こんにちは!」
「僕はピェローといいます。
(Пьеро:ピエロ。このブログではあえて露語読みします。)
 今から僕達は喜劇を演じます。
 僕は杖で殴られたり頬をぶたれます。
 あなたがたの前で僕は33回平手打ちされるんです。
 とっても楽しい喜劇です。」

杖を手にアルレキンも登場。
(Арлекин:アルルカン。あえて露語読みしてアルレキン)
photo:04

「こんにちは! 僕はアルレキン!」
客席からいちいち「やあ!」と挨拶を返すブラチーノが可愛い。
アルレキンはお辞儀するついでに早速ピェローくんに平手打ち。
ピェローくんは泣き出してしまう。
「ははっ、何泣いてんだよ?」
「僕は結婚したいんだ。」
「何で結婚しないんだ?」
「だって婚約者が逃げちゃったんだもの。」
「ははは! この馬鹿を見てくださいよ!
 で、お前の婚約者の名前は?」
「もうぶったりしない?」
アルレキンは舞台袖からもう一本杖を持ってくる。
「まさか! まだ始めたばかりだろ?」
「なら言うけど、彼女の名前はマリヴィーナ、またの名を青い髪の少女というんです。」
笑い飛ばすアルレキン。「青い髪の少女なんているもんか!」

舞台裏で即興芝居の成り行きを見守っていたカラバス・バラバスだが、
滞りなく進行しているようなのでやがてうとうとし始める。
カラバス・バラバス視点だとステージが影絵のように見えるというこの演出いいね。
シルエットも可愛いピェローくん。
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アルレキンがピェローくんを殴り続けるのを見て観客達は笑うが、
次第に真顔になっていくブラチーノ。
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とうとうステージに乱入し、
アルレキンから杖を一本奪い取って殴りかかる。
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観客「木の鼻だ!」

びっくりするアルレキン。
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「誰だお前、気でも狂ったのか!?」
「お前こそあの子に何してるんだ! 答えろ!」
「だからお前何なんだよ! これは劇だぜ!」

ところどころヒアリングできませんが
ブラチーノとアルレキンのやりとりはだいたい以下のとおり。
「ひどい劇だな! 僕が証明してやるよ。」
「それはともかくお前誰なんだよ!」
「馬鹿げたいやな劇だって言ってるんだよ!」

舞台袖から女の子の人形が顔を出して「なんて勇敢なの!」

「お前誰だ?」
「パパ・カルロが作ってくれたんだ!」
「ああ、てことはお前、丸太製だな!」
「黙ってくださいませんかセニョール?」

「もうひとつ秘密を教えてやるよ、僕は人を喜ばせるために作られたんだ!」

床に倒れるアルレキン、ブラチーノを見上げながら、
「大した鼻っ柱だな!」
「僕の鼻が気に入った?」
長い鼻を誇らしげに天井に向けるブラチーノ。
舞台袖の少女。「ブラチーノだわ!」
「もっとよく見ろよ、僕の鼻を覚えておけ。いずれ噂になるんだから!」

振り上げた杖が天井の仕掛けを割り、ステージに舞う紙吹雪。
客席からは拍手喝采。
起き上がったアルレキンをブラチーノは再度殴り倒すが、
ステージに集まってきた人形達とピェローくんに止められる。
そしてブラチーノとピェローくんを中心に輪になって踊り出す人形達。

目を覚ましたカラバス・バラバスが怒り狂ってステージに乗り込んでくる。
「やめろ! やめるんだ! ストップ!」

「わしの素晴らしいコメディーの邪魔をしたのはお前だな!」

ブラチーノは舞台裏に回収されて釘で壁にぶら下げられてしまいます。


ピノッキオオリジナルでは序盤にしか登場しない人形劇場と人形達ですが、
ブラチーノはむしろこの人形劇場を中心にストーリーが展開していきます。
上映作品「青い髪の少女、あるいは33回の平手打ち」の内容自体はブラチーノ原作どおり。
ただし原作ではピノッキオオリジナル同様、
劇の途中で人形達が客席のブラチーノに気付き、
「わーいブラチーノだ!」とステージに引っ張り上げて
劇ほったらかしでみんなでポルカを踊り始めてしまい、
「わしの劇を邪魔したのはお前か!」と
激怒したカラバス・バラバスが乗り込んできます。

さらに言えば2/11のパレード及び
青い髪の少女マリヴィーナとプードルのアルテモンが逃げ出す直接的な描写は原作にはなく、
舞台裏でカラバス・バラバスが残された人形達を怒鳴りつけたりもしません。
人形達がいかに虐げられているかが如実に伝わる巧みな演出である。
主役のマリヴィーナがいないからやむを得ず即興芝居を演じるというのも1975年版のアレンジです。
いじめられるピェローくんを見るに見かねてブラチーノがステージに乱入するのも。

見よ、まるでヒロインのようではないか。
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「白い長袖のシャツを着て、顔には歯磨き粉のように白いおしろいが振りかけられていた」と、
たったそれだけしか原作には描写がないピェローくん。

手元にある原作小説の挿し絵のピェローくんとアルレキン。
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イワン・イワノフ=ワノ版。
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プトゥシコ版。
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そして1975年版。
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黒髪おかっぱと極端に長い袖をこの子に与えた美術スタッフの前に跪き、
「あなたが神か」と心の底から讃えたい。

ピェローくんに関してはほんと、この子のこと好きすぎて、
ロシアの検索サイト経由でいろいろ漁りまくっちゃって、
(бдб)って顔になるようなあれとかこれとかおそらくほぼ全部発掘済みなのですが、
そのへんはまあいささか玄人(何の?)向けすぎるディープな話題になってしまうので、
とりあえず今のところは胸のうちにそっとしまっておきましょう。

次回、ブラチーノ完全オリジナルキャラの
薬用ヒル売りドゥレマールと亀のトルチーラ登場。