次の日の朝、薄暗いさなか先代の「黒夜叉」が奇襲をかけてきた。うとうととしかけた矢先だった為私は奇襲に気付かなかった。ふいに近くで激しく羽が風を斬るような音がして、本能が先に爪が食い込む前に翼で打ち返した。
黒夜叉!!寝ぐらを襲うとは!私はこういった卑怯なやつが大嫌いだ。鴉の世界がどんなことをしても勝てばいいとしてもだ。
昨晩眠れなかった為か体が重い。ちぃ!ぎりぎりで体を翻し觜での攻撃をかわす。まだ日が出切っていないが飛ぶ。夜目のせいでぼんやりと視界がかすむ。この巣はもうダメだな…完全にやつに壊された。私は空中高く飛ぶと一瞥して人がビルとか呼ぶ石の塊に飛び、影に一時隠れた。とにかく日が出ないことには、戦うにしても不利だ。今日に限って空気が冷たい…おかげではっきりと目が覚めた。得意の空中戦には上空高く飛ぶことも長時間も戦うことも厳しい、風と寒さが体力を奪う。低空飛行し短期に勝敗をつけるのがいい…じりじりと昇らない日を待ちながらカタナと昔話し合った戦略を反芻した。そう…カタナが教えてくれなければ私はこんなに勝てただろうか?私の癖を識りつくしこの辺り一帯を知り尽くしたカタナの存在は何より私には大きい。
日の光が世界を染める。漆黒から藍へ青へ…じわりと太陽が向こう側から出始める。世界がはっきりと影と輪郭を持った。
石の塊を強く蹴り一気に空へ!風に乗り出来るだけはばたく回数を減らす。これで無音で飛ぶことが出来る。やつは…やつはどこだ!
ライト…今日は片をつける。最近の若いやつの中で逆らうのはおまえだけだ。さっきしくじったのは痛かったがそれでもお前は俺に勝てない。先にしかけてやる。先手を取って俺は負けたことが無い。確実に急所を狙い決める。まだ薄暗い今、この楠が俺を消すはずだ
ときおり鳩が哀しげに鳴く…。静かな公園には他に何もないかのように。だが…
一呼吸落ち着けるように深く吸う…息を殺すよりゆっくりと吸い、吐いた方がよりわかりづらいのだ。…黒夜叉それで隠れたつもりだろうがそれもお見通しだ。
地面すれすれから木の枝に垂直に上がる。やつの驚く顔が鼻先に見えたがやつはここいらのボス、簡単にやらしてくれはしない、軽く飛ぶと爪で私の翼をつかみざっくりと羽を引き抜いた。鋭い痛みが右翼を襲う、くぅぅう。觜をぎりりと鳴らし痛みに耐える。はぁっと息を吐き間髪入れずに回り込むと私も觜と爪で背中を襲う。激しく暴れる先代、振り払われバランスを崩す。その隙を逃さない先代、体へ觜の攻撃を掠める。
かろうじてかわし切り低空飛行しベンチと枝のぎりぎりを擦り抜けそこから垂直に広い空へ。ビルとビルとの間から出始めた日に向きを換え飛ぶ。先代はいきなりの眩しさに私を見失った。今まで暗やみに慣れた目にはかなりきついはずだ。この間を飛ぶのはさらに眩しさが増す事を私はカタナから教わっていた。
なんとか撒いてベンチの影に身を隠す。今の私に高く飛ぶのはきつい。近くで翼がはばたく音がした。やつか!?
そこには震えるカタナがいた。
「…カタナ」 カタナは答えなかった。そのままクルリと向きを変えて飛んだ先には
黒夜叉!!
私はとっさに叫んだ。
「カタナ!よせ!」
力も経験も段違いに違いすぎる!!カタナがいくら策を講じられたとしても無理がありすぎる。私も飛んだが高さが出ない。ちぃぃ、動け!私の翼!
黒夜叉!!寝ぐらを襲うとは!私はこういった卑怯なやつが大嫌いだ。鴉の世界がどんなことをしても勝てばいいとしてもだ。
昨晩眠れなかった為か体が重い。ちぃ!ぎりぎりで体を翻し觜での攻撃をかわす。まだ日が出切っていないが飛ぶ。夜目のせいでぼんやりと視界がかすむ。この巣はもうダメだな…完全にやつに壊された。私は空中高く飛ぶと一瞥して人がビルとか呼ぶ石の塊に飛び、影に一時隠れた。とにかく日が出ないことには、戦うにしても不利だ。今日に限って空気が冷たい…おかげではっきりと目が覚めた。得意の空中戦には上空高く飛ぶことも長時間も戦うことも厳しい、風と寒さが体力を奪う。低空飛行し短期に勝敗をつけるのがいい…じりじりと昇らない日を待ちながらカタナと昔話し合った戦略を反芻した。そう…カタナが教えてくれなければ私はこんなに勝てただろうか?私の癖を識りつくしこの辺り一帯を知り尽くしたカタナの存在は何より私には大きい。
日の光が世界を染める。漆黒から藍へ青へ…じわりと太陽が向こう側から出始める。世界がはっきりと影と輪郭を持った。
石の塊を強く蹴り一気に空へ!風に乗り出来るだけはばたく回数を減らす。これで無音で飛ぶことが出来る。やつは…やつはどこだ!
ライト…今日は片をつける。最近の若いやつの中で逆らうのはおまえだけだ。さっきしくじったのは痛かったがそれでもお前は俺に勝てない。先にしかけてやる。先手を取って俺は負けたことが無い。確実に急所を狙い決める。まだ薄暗い今、この楠が俺を消すはずだ
ときおり鳩が哀しげに鳴く…。静かな公園には他に何もないかのように。だが…
一呼吸落ち着けるように深く吸う…息を殺すよりゆっくりと吸い、吐いた方がよりわかりづらいのだ。…黒夜叉それで隠れたつもりだろうがそれもお見通しだ。
地面すれすれから木の枝に垂直に上がる。やつの驚く顔が鼻先に見えたがやつはここいらのボス、簡単にやらしてくれはしない、軽く飛ぶと爪で私の翼をつかみざっくりと羽を引き抜いた。鋭い痛みが右翼を襲う、くぅぅう。觜をぎりりと鳴らし痛みに耐える。はぁっと息を吐き間髪入れずに回り込むと私も觜と爪で背中を襲う。激しく暴れる先代、振り払われバランスを崩す。その隙を逃さない先代、体へ觜の攻撃を掠める。
かろうじてかわし切り低空飛行しベンチと枝のぎりぎりを擦り抜けそこから垂直に広い空へ。ビルとビルとの間から出始めた日に向きを換え飛ぶ。先代はいきなりの眩しさに私を見失った。今まで暗やみに慣れた目にはかなりきついはずだ。この間を飛ぶのはさらに眩しさが増す事を私はカタナから教わっていた。
なんとか撒いてベンチの影に身を隠す。今の私に高く飛ぶのはきつい。近くで翼がはばたく音がした。やつか!?
そこには震えるカタナがいた。
「…カタナ」 カタナは答えなかった。そのままクルリと向きを変えて飛んだ先には
黒夜叉!!
私はとっさに叫んだ。
「カタナ!よせ!」
力も経験も段違いに違いすぎる!!カタナがいくら策を講じられたとしても無理がありすぎる。私も飛んだが高さが出ない。ちぃぃ、動け!私の翼!