月組の東京公演は初日から休演者を出しつつも、代役を立てながら継続中。


代役の方はもちろん、フォローする周り=出演者もスタッフも=の負担はかなりのものだと思います。

過剰労働の常態化はNGですが、緊急時に一致団結で乗り越える力はさすがだと感動しました。


きどくん(七城雅)たち3人休演

あみちゃん(彩海せら)たち12人休演

りりちゃん(白河りり)休演

うみちゃん(海乃美月)さちかさん(白雪さち花)たち4人休演

かのんくん(彩音星凪)休演


と色んなパターンを観たので、全員については無理ですが、印象に残ったことを書き留めておきたいと思います。


まずは、ヒロイン・ナディアの代役をつとめたみちるちゃん(彩みちる)

代役初日は台詞と動きをこなすのに精一杯でしたが、4日目にはすっかり自分のものにしていました。さすが芝居の上手さで定評のあるみちるちゃん、うみちゃんとはまた違うナディア像を作り上げていました。


うみちゃんナディアは、元々が自由気儘で自己チューな性格、それがヨナスに出会ったことで他人や祖国を思う気持ちが芽生えたという感じ。

みちるちゃんナディアは元々は理想があったのに業界でもまれているうちに忘れていた、それがヨナスに出会うことで思い出したという感じ。

ナディアは“ポップスター”とも“アイドル”とも呼ばれてますが、うみちゃんはポップスターで、みちるちゃんはアイドルというのがぴったりでした。

(個人の感想ですw)

どちらが良い悪いではなく、2パターン観られて興味深かったです。


初日はみちるちゃんの喉が不調で、デュエット曲ではナディアのソロパートもれいこちゃん(月城かなと)が一緒に歌っていました。

1音だけファルセットになる箇所があったのですが、違和感なく切り替えるれいこちゃんの歌唱力にも感心しました。


あと、コメディお色気シーンでのヨナスのリアクションは毎回アドリブですが、みちるちゃんとの時はナディアの真似をすることにした模様。

ナディアがシナを作ればヨナスも、ナディアが人差し指を顎にあてればヨナスも、という状態で、みちるちゃんを横目に見ながら真似をするれいこちゃんが可笑し可愛かったです。

(みちるちゃんGJ!)


ヨナスの母・エミリアの代役はゆきちゃん(桃歌雪)でした。本役のさちかさんも上手ですが、ゆきちゃんは少し違うお芝居でこれまた上手かったです。

さちかさんエミリアが上の空な感じなのとは逆に、ゆきちゃんエミリアは闇に沈んでるような表情。収監されている間の扱いを想像してしまってゾッとしました。

ヨナスと再会して少し正気に戻りかける時も、さちかさんエミリアはボヤけていた焦点が合うような、ゆきちゃんエミリアは闇に光が射すような印象を受けました。

これも、どちらが良い悪いではなく、演者によって変わるナマの舞台の面白さを感じました。


ゆきちゃん本役のアンジーを演じたのはいちごちゃん(咲彩いちご)

一度新公で演じたとはいえ、堂々として安定感ありまくり。本公演に混じっても遜色無し。歌も上手いし今後ますますの活躍を期待!

みうみん(美海そら)も新公で演じたヘルガを担当していましたが、これまた代役とは思えないくらい伸び伸びと役を生きていました。出番のたびにメガネをピンク、オレンジ、黄緑と変えていて遊び心も抜群。本役のこありちゃん(菜々野あり)もそうですが、ダンサーゆえ駆け回っている姿も軽やかで美しい。

ふたりとも104期、新公学年でも頼もしい月娘たちです。


ショーでは、うみちゃんの代役はみちるちゃんとじゅりちゃん(天紫珠李)が分けて担当。

お芝居とは別の苦労があるだろうし、舞台裏の移動もお芝居以上に激しそうだし、とにかく怪我をしないようにと祈りながら観ていました。

そうしたら代役初日ソワレ、大階段でじゅりちゃんが足を滑らして危ないっ!

その瞬間、ガシッと支えたれいこちゃんがめちゃくちゃ格好良かったです。


たぶん代役だからではなく、うみちゃんの時であっても何かあったら咄嗟に支えられるように気を配ってるのでしょうね。

それは、れいこちゃんに限らず、皆さん互いに支え合えるようにしてるんだと思います。信頼関係が大切なお仕事なんだな…


みちるちゃんは鹿鳴館の令嬢明子のドレス姿が本当に可愛くて、金髪フランス将校れいこちゃんの並びも本当に美しくて、お人形のようでした。

れいこちゃんファンとしては、うみちゃんと違うタイプの娘役さんとの並びも観てみたかったので、ちょっとだけ夢が叶いました。


あみちゃん休演時は、るおりあくん(瑠皇りあ)がゲッツェの代役でした。

ショーもほとんどあみちゃんの箇所に入ってましたが、歌も上手いしキラキラ美しいし目ヂカラ強いし魅力的でした。

新人公演が東京では中止になって残念でしたが、新公主演を掴んだからこその代役だし、そしてそれを立派にこなして実力を示したのは今後にも活きると思います。


ご贔屓娘役のおはねちゃん(きよら羽龍)は、ショーの大正時代(モボ・モガ)の場面で、りりちゃん休演時にはりりちゃんパートのモガ、うみちゃん休演時にはみちるちゃんパートのモガで代役をつとめていました。

通常時にも女学生で出ているので同じ曲で3パターンのダンスと歌。混乱しそうなものですが、鬘も似合ってダンスも生き生きと可愛らしかったです。

カフェに入ってからのお芝居も楽しそうでした。ぱるくんもあみちゃんも新公の相手役さん😍😆


さちかさんの場面を担ったうららちゃん(麗泉里)の艶やかさ、おそらくご自身の振付けで踊ったるねくん(夢奈瑠音)の洒脱さ、群舞で臨機応変に場を埋めていたれんこん(蓮つかさ)の万能さ、など上級生はたのもしく。

りひとくん(美颯りひと)やひめかちゃん(八重ひめか)など下級生までが代役をキリッとした表情で対応していてプロフェッショナルだなと感動しました。


そして真ん中にいるれいこちゃんの包容力にただただ感服。

なんて立派なトップスターなんでしょう。

ぴよぴよだった雪組下級生時代から観ていて、何度かのキッカケを重ねて応援するようになった私ですが、さらに一段とファンになりました。


卒業の日までしっかりその姿を観ていきたいです……観させてくれー!!



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宝塚は色んな問題を抱えていることが、表に出てきました。それについて細々と書くつもりはありません。

強要は絶対にダメですが、自主的な努力は素直に褒め称えたいです。

生命と尊厳を大切にする、健全な組織になるよう願っています。