久しぶりに映画館に行きました。


「ロスト・キング 500年越しの運命」


シェイクスピア劇では醜い容姿の悪役として描かれ、その墓の所在も長らく不明だったリチャード3世。

その遺骨を発見したのは一般人の女性だった…という最近の実話を元にした話。


単なる宝探し的な話ではなく、人間の醜さや優しさ、少しほろ苦い思いを残すような映画でした。


歴史は後の権力者によって都合良く捻じ曲げられた可能性が大いにあり、そのまま受け取ってはいけない。勝てば官軍負ければ賊軍というやつ。

リチャード3世は、本当に暴君だったのか?甥殺しの簒奪者だったのか?


という歴史に対する謎と並行して、そのようなことは現代社会でも同様ではないのかという問いかけが、さりげなく重ね合わせて描かれている。


病に苦しむ主人公を理解しない職場の上司。女性の発想を感情的だと見下す行政の男性。

発掘の功績をかすめ取っていく学者や大学関係者。簒奪者の彼らは着飾って祝賀パーティーに行く一方で、主人公の女性は平服で学校の講演会へ。


それでも、リチャード3世を見つけてあげられたことが一番だったのでしょう。

晴れ晴れとした表情を見せる彼女が印象的でした。

何をもって幸せや充足を感じるかは“己が決めればいい”というのが、この映画を見終わっての感想です。