れいこちゃん(月城かなと)が「とても難しい作品」と言っていた「DEATH TAKES A HOLIDAY」


楽曲が難しいというだけではなく(それも大きな理由だろうけど)、ストーリーとして色んな解釈が出来るからではないかと。

れいこちゃんて理論的に芝居を組み立てていくタイプだから(「エリザベート」のナウオンとかで言っていたよね)

ファンタジーという色んな解釈が出来る作品は、役の切り取り方やリアルさをどこまで表すかが難しかったのかな、と思いました。



というのも、私は観る度に解釈が変わったんですよね。


ラストシーンも、初見では「結局グラツィアを連れてっちゃうのかよー」と思いましたが、実は「グラツィアが無理やり付いて行った」が正しいよね。押しかけ女房www


そう思って見直すと、婚約したばかりなのに不自然なまでにサーキ(死神)に惹かれるグラツィアに違和感。タカラヅカ的ロジックなら「一目惚れ」で強引に納得させられることもあるけど、この作品は海外ものだし。

やっぱりグラツィアは既に自動車事故で死んでいて、己のあるべき場所=死神の近く、ということを本能的に感じているからなのか…とも解釈できる。


事故後にグラツィアが無傷で見つかった時の「そうだ思い出した私たちは…」という歌詞も、まるでその場の全員が同時に記憶喪失になっていたような不可思議さ。

そしてまた冒頭の「ヴェネツィアから我が家まで」という歌詞に戻る…時間軸が巻き戻ったかのように。

疲労困憊の死神が職務放棄したせいで狂った時間。



他にも、不可思議に感じるセリフとしては「命令違反で取ったこの休暇が、どう終わるべきか考えている」というサーキの言葉。どう終わらせる、ではないのは何故。

単にグラツィアを連れて行く云々だけじゃなく、死神自身の行く末も含まれているような…

その後、グラツィアを置いていく決心をした時の歌には「滅びてもかまわない」とあるから、命令違反のうえにグラツィアの命を見逃すと重い処罰があるのかも?

死神さんにはどうやら上司がいるっぽいし。消滅させられちゃうとか、神から降格させられちゃうとか…



ラストシーンでは、純白を纏った死神が「真実だとわかったんだ、愛は死よりも強いということが」と言う。

「真実“が”わかった」ではなく「真実“だと”わかった」なんですよね。

死神は以前から「愛は死よりも強い」と誰かから(誰?上司?)聞かされていたけど、とうてい信じられずにいた。

だけど、グラツィアの行動でわかったから姿が白く変わったのかな、と。

怖がられるから怖い姿をしてたけど、そうじゃないって死神本人が気付いた、みたいな。


あるいは、死神の姿は観念的なもので、人によって見た目が違うということも考えられる。

1幕で死神が公爵の前に現れた時、最初から「死神か」と言ってたんですよね。怪物とか悪魔とかでは無く。

死神って西洋のイラストだと黒いローブ着てフードかぶって大鎌を持ってるイメージだと思うんですが、かなり違いましたよね。

それは、公爵が考える死神の姿があのままだったと考えれば納得できるし、逆にグラツィアからは「きれいな翼の死神」は最初から真っ白に見えていたのかもしれないな。



とまあ、そんなこんなで千秋楽過ぎてもぐるぐる考えてますが。

それもこれも、歌詞やセリフをストレス無く聞き取れる出演者の滑舌の良さ、そしてシアターオーブの音響の良さのおかげでもあります。2階後方でも1階端っこでもクリアな音響で素晴らしかった。


そして、れいこちゃんファンとしては、1作品でこんなにたくさんの姿が観られて本当に贅沢でした。

カッコイイ、キモい、怖い、切ない、麗しい。スキップしたりベッドでぴょんぴょん飛ぶのは可愛いし、壮大な曲を歌い上げるのは神々しかった。

さらに、りりちゃん(白河りり)とのデュエットとタップダンスとキス。新鮮でめちゃくちゃ楽しかったです。


また忘れられない作品が出来ました😆




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