メインキャスト(道真、昭姫、業平、基経)の感想に参ります。やっと辿り着いたよw
あくまで初日から数公演を観た時の(もう2週間も経過😅)感想なので、現在はきっともっと深いものになっていると思いますが…
この作品における“敵役”である藤原基経を演じたのはおだちん(風間柚乃)
まず登場した時にメイクがとても上手く、原作のイメージに似ていて感心してしまいました。
元の顔立ちが美しいおだちんですから、そのままだと爽やかイケメン公達になるでしょう。それがメイクであんな風に「少し精神を病んだ」ような、でも「伏魔殿で生き残る野望」を感じる妖しげイケメンになるなんて…すごいな、と。こういう技術は日々の研究の賜物だと思うし、おだちんのたゆまぬ努力を感じました。
そして芝居の部分では、養父に対する嫌悪と畏怖を内包した慇懃無礼さや、妹や部下に対する非道とも言える冷酷さ、などなどいかにも“敵役”らしい黒い面をきっちり見せると共に、一方では吉祥丸に対する思い(その中に宿る己自身への憐憫と嘲りも)をバランスよく表現する力。銀橋での歌唱も含めて、本当に「上手いなぁ」と唸らされました。
めっちゃ語ってしまったw
だって“拗らせ美青年”なんてオタク心に最高に刺さる役だよねぇwww
れいこちゃん(月城かなと)が2番手3番手の頃に、こんな役を観たかったなぁ~なんて羨ましかったです(あ、つい本音が…)
主人公=道真の年上の友、在原業平はちなつさん(鳳月杏)
立ってるだけで艶っぽいなー!ちくしょうwww
飄々と「色男」を気取ってる一面と、貴族社会をうまく渡り歩いてる大人の賢さ(必要なズルさ)、そして心のうちに秘めた高子への恋情。
やりようによっては主役より目立つことも出来る役だし、ちなつさんの技術なら可能なはず。だけど作品全体の中での必要な存在感、というものを計算されて出しているんだろうなぁ…と、俊藤さん@ロマンス劇場を観た時と同じようなことを思いました。
もっと道真とバディぽいところが観たかったなぁ〜(脚本っ)
うみちゃん(海乃美月)が演じる昭姫は、異国出身ながら京で繁盛している店を切り盛りしている女主人。ということは、かなり気丈で賢い女性です。
硬質で大人っぽい持ち味のうみちゃんに合っていて、すごくイキイキとして見えました。
れいこちゃんに対して「坊ちゃま」呼びしても違和感が無いw
トップ娘役と言えば基本的にはトップスターの恋のお相手を演じますが、今回は恋愛とは無関係。でもその華やかさはさすがトップ娘役という存在感でした。
余談ですが、店を捜索される場面でうみちゃんが「わたくしが昭姫でございますが?」って出ていくところでつい、前作のれいこちゃんの「私がギャツビーです」を思い出しちゃいますw
最後に、菅原道真役のれいこちゃん。
おだちんのメイクにも感心しましたが、れいこちゃんのメイクも素晴らしい。
原作漫画の三白眼に寄せているだけでなく、ちょっとムスッとすると目元に影が出来て目付きが悪く見え、でも笑顔になると可愛く見えるような絶妙なアイメイクなんですよね。
2階席(遠目)から見ても、道真の偏屈さが伝わってきて、ほんと凄いなぁ…と思いました。
演技については、実は初見の第一声は、私の中の“菅三殿”とは少しイメージが違いました。
原作のイメージだともっと斜に構えているというか、厭世的なニュアンスを想像してたんです。そしたら、意外とキッパリとした台詞回しで……おや?と。
でも最後まで観ると、この脚本の道真はそれで合ってるんだな、と納得しました。
“宝塚版”のラストシーンは原作とは別物になってますからね。
おそらく原作漫画の道真(政治に関わりたくない、唐に行きたい)ではなく、史実の道真(政治の中枢まで上り詰める、遣唐使を廃止する)をも含めて書かれた脚本だと思うけど。
そういう全体の流れをも考慮した台詞回しなんだな〜と、腑に落ちました。
もちろん原作の少年ぽさや、頭でっかちなところ、不貞腐れたり怒ったり…でも実は優しいところ、なども描かれています。
れいこちゃんの表情がくるくる変わるのは可愛いし、間が良いのでクスッと笑えるところも楽しい。
きっとこれからもどんどん変わっていくだろうな~と期待しています。