※脚本演出について辛口です。この作品が大好きな方はご注意ください。
※出演者は大絶賛ですw
2022年の観劇納めをしてきました。
2回目の「蒼穹の昴」は1階後方サブセンターブロック。
舞台全体がよく観えました。
前回は下手の一番端の席で、前列の人の頭で舞台下手がブラックホール状態😣
「蒼穹の昴」は幕開きがその下手側で始まるため、初っ端から誰がどこにいてどの状況で何を話してるのか全くわからなくて(酒場の全員がまるっとブラックホールだったのだ😅)導入部分で気が削がれました。
最前列でもない限りどこかに死角が出来るのは仕方ないけど、基本的にはセンターが見やすいように席は作られているはず。
せめて幕開きは演出に気遣いが欲しいなぁ、と思いました。
で、今回は後方席でしたが、全体が良く観えて話の流れもわかりました。
豪華で美しかったわ。
ただよく理解できた分、モヤッとする部分が…ええ、原田くんの脚本的にね。
主人公メインの話ではなく群像劇にしたのはまぁ、作劇の手法のひとつなので仕方ない。
なので、ひとりひとりを深くは描けないのはまだわかるんですが、メインキャストの生き様ですら1本通って無いような?
この作品、曲がどれも良かったんですが、一番印象に残ったのがあーさ(朝美絢)演ずるチュンルの「チクショウsong」←正しいタイトルわからんw
今回のあーさ、全体的にすごく良かったんだけど、特にこのシーンがめっちゃ上手いのよね。
芝居と歌が見事にシンクロしてて…
(ほら、歌が下手だと芝居に入り込んだ気持ちがブツッて切られるし)
(歌だけ上手くても、あんたのコンサート観に来てるんちゃうわ〜ってなるし)
ミュージカル観てるわ〜!って思わせてくれる歌唱でした。お父さんもお兄さんもお母さんも実際に登場しないけど泣けるくらい。
でね、その歌でチュンルが願うのは「貧しさから抜け出して」「西太后のお宝を手に入れて」→→→「貧しいみんなを幸せにしたい」だったはずなよね。
ああ、優しい子なんだなぁ、ってめっちゃ心に残ったの。
な・の・に!
お芝居の最後まで、その「みんなを幸せにしたい」はどこいったのー!?状態ですよ。2幕のチュンルは、昴の予言とやらに対する「合ってた」「ハズレた」要素でしか無くて…
広げた風呂敷を畳めないというより、風呂敷が霧散したよ、原田くん😅
原作はわからないけど、少なくとも舞台は尻切れトンボ。これ、脚本的にはNGじゃ無かろうか。
咲ちゃん(彩風咲奈)のウェンシウだって、悩んでる風なシーンはいっぱいあるけど今ひとつ具体的じゃないし。
それに何より、彼の人生を左右するのは帝のはず。チュンルでもないし、李鴻章や西太后以上に関わりが深いのは帝でしょうに。
帝のためにって死をも考えてしまうくらいなら、その関係性をもっと集中して見せてくれないとさ。2幕でサラサラーっと流されちゃって、咲ちゃんもやりにくかろうて。
たぶん原田くんは西太后様に思い入れがあるんだよね。実は悪女じゃないんだよーというのを強く描きたかった。
でもさ、主役をウェンシウにした時点で、西太后より帝を濃く描くべきなんだよ。ヒロさん(一樹千尋)の芝居が上手かったのはまた別の話で。
日清戦争についても、いくら李鴻章役が専科スターのカチャ様(凪七瑠海)とはいえドラマチックな群舞だけではなく、その敗北がいかに帝の進退に影響し、ひいてはウェンシウの命運を左右するか…ってとこを強く描くべきだった。カチャ様がカッコ良かったのはこれまた別の話で。
咲ちゃんの熱演とか、専科さんたちの存在感とかで、なんかスゲーもん観たわ〜って気持ちにはさせて貰ったけど、終わって振り返るとなんかアレレ?みたいな脚本でした。
1から話を作るのも大変だろうけど、長大な原作をまとめるにもかなりの手腕が必要なんだな、というのをしみじみ感じました。宝塚歌劇はフィナーレ合わせて2時間半という制約があるわけだからね。前編後編で6時間とかじゃないから😅あれもこれもと欲張っちゃダメなんだよ。
せっかく記者役のあすくん(久城あす)たちを出したんだから、とことん狂言回として使えばメリハリついたんじゃないかなーと思ってしまう。
で、上田久美子さんのインタビュー思い出した。
脚本がアレレでも出演者のスター性で捻じ伏せちゃうんだもん。そりゃ作り手としては逆に、真っ当な評価が貰えない気になっちゃうよなぁ。
実際、出演者のスター性&存在感で保ってる舞台だったもん。
あのキョンシー衣装(違w)が、スタイルおばけの咲ちゃんが着るとめっちゃカッコイイし!
カチャも頭身おかしいけどw
先に書いたように、あーさは芝居も歌もめちゃくちゃ上手かったし。
そらくん(和希そら)は何でもこなすし…唐突に出てくる阿片窟ダンスシーンも、そらくんが踊ったらなんだか素敵な場面になるマジック😅
ベテラン専科さんたちは出るだけで空気が変わる。特にまりんさん(悠真倫)は尊大さと小物感が絶妙だったわ。
あと他にも、天月翼さん、諏訪さきちゃん、眞ノ宮るいくん、一禾あおくんが印象に残りました。
ほんと、宝塚の生徒さんたちには感動するよ、うん。
しみじみ感謝の気持ち。
今年も厳しいコロナ管制下(?)の中を素晴らしい舞台の数々をありがとうございました!