書けるだけ書こうキャスト別感想の第二弾

 

 

次は、デイジー・ブキャナン役うみちゃん(海乃美月さん)


私は原作のデイジーは知らないけれど、ほんわか脳内お花畑みたいなキャラクターでも話としては成り立つと思うんです。

でも、うみちゃん自身が聡明で硬質な感じがあるし、宝塚の場合は観客のほとんどが女性だからこそ、今回の「女性の賢さと時代ゆえの生きづらさ」を出した表現は成功していたと思います。

 

まず、登場した時の物憂げな感じがすごい印象的でした。

豪邸で美しいドレスを着て優雅に踊っているのに「生きていることに飽き飽きしている」というのがわかる。

ニックと再会した時だけは明るい声を出すけど、すぐにテンションは下がり、さらに夫が帰ってきたときの嫌悪感・・・トムに近寄られて「男くさいのが嫌だわ」ってさりげなく鼻を押さえるとこがなんともリアルで。

 

そして、絶対に貧しい生活は出来ないであろう「生活感の無さ」

これ重要!

うみちゃんの高級感があればこそ成り立つのが、今回のデイジーなんだと思う。

 

その他に印象的だったのは、再会したギャツビーに「(金持ちになったのは)すべて君のためだ」と言われた時の表情。

初恋の人に再会したという喜びはあれどもそれ以上のことは考えていなかった、というのが良くわかった。

 

ここから銀橋への流れ、がすごかったなぁ。

気持ちの揺らぎが波のように伝わってきた。

ちょっとでも間違ったら陳腐なメロドラマになっちゃうところを、ドラマチックな恋愛ものにしてしまう、れいこちゃん(月城かなと)とうみちゃんの芝居と歌の熱量が半端なかった。

 

 

 

正直ね、私とは価値観が違う女性ですよ、デイジー。

もっと言えば、母親のエリザベスさんさぁ「金持ちの娘は貧乏な男と結婚しては幸せになれないの」って、そう育てたのあんたやん!って思うわけですよ(笑)

 

でも、日本でもほんの25年ほど前(え?大昔?笑)・・・私が若い頃は、本当のお嬢様は短大在学中にお見合いして結婚してたし(恋愛したことないまま死ぬわってご自身で言ってたなぁ)、腰掛けで働いていたお嬢様同僚は「25歳までに結婚しないと世間体が・・・」とお見合いしまくって、相手が決まったとたんに職場の迷惑とか無視して退職していった(実話)

 

まぁ、そういう時代を経験している私としては、デイジーの生き方を頭から否定は出来ないわけです。

デイジーの不幸は、上記のお嬢様たちのように「恋愛したことない」とか「世間体のために結婚する」ことを割り切れなかったことだよね。

旦那の浮気なんて気にせず、パアアアアッとセレブ生活を楽しんじゃえば良かったのに(こらこら)

 

 

ラストシーン、ギャツビーのお墓にバラを1輪投げるデイジーの気持ちはどんななのか。

ギャツビーと違って、彼女はこれからも生きていかなくちゃいけないんですよね。ウィルソンが「マートルを殺した奴は地獄に落ちる」って言ってたけれど、本当に生き地獄だよなぁ。

 

初日あたりは結構そっけない感じでバラを投げていたんですが、途中から投げる前にバラに思いを込めるようになりました。あれは小池先生の指示なのかな。

初日あたりの演出だと、ギャツビーの死のショックと罪悪感に苛まれたデイジーの精神が壊れてしまったように感じてたんですが、演出が変わった後は、ギャツビーへの恋心と「気まぐれな少女」である自分の本質をバラに託して埋めたんだなって感じるようになりました。

 

この後のブキャナン夫妻は仮面夫婦だろうし、デイジーは娘パメラのためだけに生きていくんだろうなぁ・・・

でもきっと「きれいなおバカさん」には育てないと思う。ひとりでも生きていける女性に育てるような気がする。

ラストのうみちゃんデイジーにはそんな強さを感じました。

 
 
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