この作品の上演が発表された時、正直「イマイチ」って思ったんですよね。盛り下がった、ごめんね(苦笑)
古い作品だし、ストーリーは後味良くないし(←外部公演は観ていたので知っていた)、1本立てだとリピートきついし。
でも、観てみると悪くなかった(上から目線!?笑)
なんですかね、ずっと考えちゃうんですよ。
それぞれのキャラクターの過去とか未来とか。それこそ赤ん坊パメラちゃんの将来まで考えちゃうレベル←人形だよ(笑)
そういうのがね、面白かった。
好きな作品は色々あるけど、ここまで考えてしまうのは珍しい。
レミゼを観た時みたいな感覚。
それぞれのキャラクターに深みがあって、時代背景が複雑で、自分自身の価値観(愛とか人生とかお金とか)までも揺さぶられるのが面白い。
あとね、やっぱり宝塚だからっていうのもあるかな。
ぶっちゃけ、ジェイのデイジーに対する思いは、下手すりゃストーカーとか気持ち悪いとか言われるレベルの執着ですよね(苦笑)
デイジーも勝手だし、トムは下劣だし(←言い方)
でも、それを嫌悪感とまでは思わせないのが、やっぱり宝塚ゆえの清潔感と美しさなんだろうなぁ。
(映画版を早々に挫折した理由でもある)
もちろん演出も、宝塚に合わせてあると思います。
前回の記事で、原作が出版された100年前と今では我々の感覚が違うだろうと書きました。
となると、物語の中の普遍的な部分をピックアップして、さらに宝塚らしく色付けするしかないわけで、それはさすが大御所小池先生です。
男とはロマンチストで見栄っ張りで愚かで、でも一途で。
女とはリアリストでずるくて弱くて、でも健気で。
やるせなさや切なさ、虚しさはあるけれど
「それでも確かに愛はあった」
というところを宝塚的にフォーカスして作られていたと思いますし、それを演者がちゃんと理解してそこに重点を置いて演じたのが、この作品が成功したポイントだと思います。
あと、曲が意外と古臭くなかったのも良かったなぁ。どの曲も好きでした。
車両とかセットが豪華だったのと、衣装もたくさんあって良かった(れいこちゃん(月城かなと)、トップスターなのにロマ劇もNeputuneも地味だったもんなぁ)
そうそう、小池先生の演出で1点だけ「ん?」ってなったのは、ラスト近く、事故の後のギャツビーとニックの場面。
マートルが飛び出してきた理由をニックが「彼女はガソリンスタンドの女房でトムの愛人だった」と説明するけど、これ察しのいい人はわかるけど、わからない人もいる気がする。
つまり、ゴルフ場に行くときに寄ったガソリンスタンドでトムが黄色い車に乗ったから、同じ車にトムが乗っていると思いこんだマートルは飛び出した。でも乗っていたのはギャツビーとデイジーだったんだよね。
あと、運転していたのが実はデイジーだったと気づくニックも不思議よね。
ニック「なぜ逃げたんだ」ギャツビー「間に合わなかった」
というQAの食い違いからニックはピンと来たのか?!名探偵レベルだよ(苦笑)
そういう細かい「ん?」はありましたが、全体的にバランスがよくて、名作と言っていい作品だったなと思います。
過去形で書いていますが、あと1回千秋楽を観られる予定なので、しっかり楽しんで見納めたいと思います。
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