終わってしまった……

「祝!」とは付けられないです。
開演前から泣きそうで、終演後は本当に泣いてしまいました。
寂しいです。

今回の劇場(名古屋市民会館)は横に広く、この作品には合わない箱だったように思います。
私は上手ブロックのセンター寄り通路席だったのですが、何度もセットの椅子で見切れて涙を飲みました。
それだけが心残りです。

しかし出演者のダンスは鬼気迫るものがあり、大千秋楽ならではの熱気に満ちたものでした。
特にメンズは熱かったです。
声をバンバン出しながら踊っていました。

ダンスだけでなく役への入り込み方も熱く、女性たちへの愛が舞台を渦巻いていました。
彼らの本業は役者ではないはずですが、素晴らしい踊り手は素晴らしい役者でもあるのだなぁと思いました。

ガールズも彼らに負けじというパッションをみなぎらせて、すみずみまで神経の行き届いた美しいタンゴを見せてくれました。

私はどうしても夏希さんばかりを観てしまいすが、マウロとの1幕ラストのダンスは冷ややかな刃物のような鋭い空気をふたりの間に感じて息がつまりました。
(2幕ラストのわたるくんとフアンは熱い闘い、夏希さんとマウロは冷たい闘い、という鮮やかなコントラスト!)

高笑いをしながら立ち去る彼女に、立ちふさがるのはクリスティアンとフアン。
彼らがここで夏希さんの肩に触れたのはこの大楽で初めて見たように思います。
このふたりの争いから男性だけのダンスナンバーが始まりますが「肩に触れる」という一瞬のことだけで、その流れが自然に見えるようになりましたね。
最後まで深化する舞台でした。

マニッシュシーンの夏希さんはいつもよりニヤリ笑いが多かったです。
大楽のサービス?(笑)

でも私は男役風のニヤリ笑いより、悪女のしたたるような笑みの方に心奪われました。
2幕でニコラスが変身したときの舌なめずりしそうな含み笑い。
クリスティアンとフアンに挟まれたときの鼻であしらうような表情。
Oblivionでクリスティアンに体を預けながらマウロに向ける目は、むしろ優しげで……それが余計に男を打ちのめすとわかってやっているのでしょうね。
悪魔だわ!(笑)

でも、本当に魅力的でした。
男役時代はセクシーさが持ち味だったのに女優になってからはなかなかそれを発揮できなかったように思うので、ようやく花開いた感じがします。
これからがまた楽しみです。

カーテンコールでは、マウロの頬にバードキス。
今までゴメンネの意味かしら(笑)
でもクリスティアンが両腕を開いて「おいで」ってした時は「えっ!?」って照れて引いちゃうのが可愛らしい。

そんな夏希さんの本来の気質とは違うからこそ、今回は役者としても練って作り上げたのだなぁと思うとファンとして嬉しくなっちゃいます。

「思わぬモテ期が舞台で到来しました」なんて楽しそうに笑い。
振付アシスタントのパウラと抱き合って泣き。
そして最後に手を振る夏希さんは満足そうでした。

「大切な宝が出来た」と大阪楽で仰ってましたが、ファンにとっても珠玉の作品でした。

喪失感が強くて「祝!」とはまだ言えませんが……
お疲れ様でした!
ありがとうございました!

幸せでした!




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