- カラマーゾフの妹/講談社
- ¥1,575
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発売直後に気になって図書館に予約してから約半年、ようやく順番が回ってきました。
その間に読者レビューで『ミーチャは既に死んでいる』ことを知ってしまったのでテンションはかなり下がっており(苦笑)なかなかページを開く気にならなかったのですが、返却期日が迫って読み始めたら意外と面白くスラスラと読んでしまいました。
ただしそれは原作の持つ人間描写の面白さではなく、いわゆるサスペンス物としての面白さで、結末にたどり着くまでの『どうなっているんだろう?犯人は誰?』を楽しむ本だと思います。
あとは「カラマーゾフの兄弟」のパロディとして、原典の設定をいかに料理するのか?という興味深さ。
なので、原典を知っている方が楽しめると思います。
というか原典を知らない人は読んでて判るのでしょうか?
途中で簡単に説明はありますが、かなりの人数の登場人物が出て来ますし。
舞台版では出て来なかった“ゾシマ長老”や“アリョーシャの教え子”まで出て来ますし。
私は原典+舞台で下地があったからスラスラ読めたのだと思います。
特に舞台のイメージというのは強烈ですね。登場人物の姿かたちで思い浮かべることが出来ますからね。
ラキーチンとかムシャロヴィッチとか、舞台を見ていなくて小説を読んだだけだったらピンと来なかったと思います。
二次創作としては、よくこれだけ多くの登場人物を活かしたなぁと思いました。
あと原作の持つイカレた感じとか、荒唐無稽さとリアルさのミックスとか、過激さとか…そういう要素もあって “原作の続き”らしい雰囲気はありました。
とはいえ『面白さ』と『納得』はまた違う問題なんですけどね。
後味が良いとも言えないので、また読みなおそうという気持ちは起こらないのが正直なところ。
私はやっぱり「カラマーゾフの兄弟」には思い入れがあるし、演じた生徒さんを思い浮かべてしまうこともあって、不本意だと思ってしまう展開も多かったです。(←ミーチャが既に死んでいることを筆頭に)
だから、これはあくまでもパロディ作品だとして捉えて、やはり原典通り…というか舞台通りの物語がホンモノだと思うことにしよう!というのが読後の結論でした(笑)