旦那が出張中なので2日続けての観劇DAYS。
今週はあと雪組JINとアッキー&タニちゃん&ジュリぴょん(プロミセス・プロミセス)

姫の舞台については、旦那のスケジュールなんて無視して劇場に通っちゃうんですけどね。
それ以外では出来るだけ隙を縫うように行っています。
(もちろん姫の舞台にすんなり行かせてもらうためである←笑)

そんな理由で旦那の不在がわかってから突如行くことに決めた「ハーベスト」でしたが、コレがとっても良かったです。
佳作のストレートプレイだと思います。
ミュージカルやショーとは違うからワクワクとした楽しさじゃないし、何度もリピりたいというわけでもないけれど、じわじわくる面白さがありました。

(あら、明日のWOWOWプライムショーで演出家の方がゲスト出演するんだ、見よう)




以下ネタバレ感想。


渡辺徹さん演じるウィリアム・ハリソンの19歳から110歳までの約90年間。
イギリスヨークシャーで養豚農場を営むハリソン一家の風景を描いた作品です。

(ちなみに芝居の冒頭、ウィリアム19歳の時点が1914年、ツカ脳が反応するのは仕方ない^^;)
(さらに19歳設定で、徹さんが出来るなら姫は楽勝だね!と姫脳が反応したのも仕方ない^^;)


出てくるセットは一軒の家だけ。
その大きな家のセットが回転するたびに時代が10年20年単位で飛んでいき、ウィリアム以外の人々は少しずつ変わっていく。
母親が亡くなり、弟の妻が増え、弟が亡くなり、弟の妻の姪が同居する。
姪に夫が出来て、子供が生まれ、使用人が増え…少しずつウィリアムを取り巻く人々は変わっていく。

けれど人々より激しく変わるのが時代。
戦争や高度成長、政策や法律の変更、ものが豊かになる一方で、自己中心の人間が増え、田舎は過疎化し、治安は悪くなる。
価値観も変わる。
命がけで土地を守ろうとする親の世代と、農業なんて面倒くさいと思う子供世代の食い違い。

その中で、一見すると飄々と、でも実は頑固にしたたかに逞しく生きているウィリアムというひとりの男。



いい戯曲って台詞の選択が良いんだろうなぁ。
どこかの某爺演出家の作品のように「状況説明ばっかり」の台詞は一切ないですからね(^^;
家族たちの会話の中で、そういった時代の変化を読み取る…これは観客としてたまらない面白さです。

また、笑いを誘うような会話のやりとりの中に切なさを感じさせたり、皮肉を笑いに紛らせていたり。
そんな台詞も多かったです。

私はちょっと実生活と重ねすぎたせいか、切なさの方にシフトしてしまったようであまり笑えなかったんですが、客席からは笑い声も何度か起きていました。
そういう風に笑えるお客さんというのは、ウィリアムと同じように強い人なのかもしれない。
逆に、アルバートのように物が見えていない人かもしれない。
そんなことを思ったりしました。



小道具大道具のこだわりも楽しかったな。
時代が飛ぶごとに、冷蔵庫や台所、照明器具が少しずつ近代化していってね。
屋根の梁からぶらさがる花束の意味を考えたり…

そんな中で変わらない、存在感のある“キッチンテーブル”がウィリアムの生き方と重なって際立ちました。




焦らなくてもいいけど、諦めないで生きていこうかなって…
そんな風に思わせてくれる芝居でした。