岡山のスポーツ系行政書士、グラスルーツ行政書士事務所の田口です。
以前の記事で取り上げさせていただいたアンブッシュマーケティングですが、いかに取り締まるかが重要になってきます。
規制が可能な法律として以下のものが考えられます。
○商標法
商標は、特許庁に登録することで、指定商品・役務に関して専用権を得るとともに類似する範囲で使用を禁止することができます。
例えば、スポーツイベントの正式名称・略称・ロゴマーク・音や動画などがあります。
○不正競争防止法
不正競争防止法2条1項1号・2号は「人の業務に係る氏名、商号、標章、商品の容器もしくは包装その他の商品又は営業を表示するもの」を保護します。
これの商品等表示には業務に使用している表示が広く含まれており登録商標も未登録の商標も含まれます。
不正競争防止法第17条には、国際機関の保護のため経済産業省令で定める標章を当該国際機関と関係があると誤認させるような方法で商標として使用することを禁止しており、オリンピック・パラリンピックについていくつかの標章が同条の対象となっています。
○著作権法
著作権は著作物を創作した著作者に直ちにに発生するものです。商標と異なり無方式主義を定めたベルヌ条約加盟している多くの国において、何らの手段も要せず、著作権の保護を受けることになります。
保護を受ける対象としては、マスコットキャラクター・シンボルマーク・ロゴなどが考えられます。
○不法行為(民法)
民法709条は「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と定めています。
既存の成果物にフリーライドし、競合した活動を行うことがスポーツイベントで行われるアンブッシュマーケティングの手法のひとつであり、不法行為類型が成立すると考えられます。
○所有権(占有権)に基づく施設管理権
間接的なアンブッシュマーケティングでは標識法が機能しないため、無形物に対する排他的権利である知的財産権が及ばない範囲においては、有形物に対する排他的権利である所有権ないし有形物に対する事実上の支配を保護する占有権で対処するしかありません。
具体的にはスポーツイベント会場であるスタジアム施設の所有権、または賃借する場合は賃借権を根拠とする占有権、に基づく当該施設管理権による物理的コントロールになります。
上記のような既存の法律だけでアンブッシュマーケティング対策が十分かというとそうとは言えない部分があります。
海外ではアンブッシュマーケティング対策のために特別立法を行った例があります。
・2012年ロンドンオリンピック
1995年に「Olympic Symbol etc(Protection) Act」の制定
⇒オリンピックシンボル、オリンピックモットー等の排他的使用権の設定、同一または類似のものの商業的な使用の禁止
2006年に「London Olympic Games and Paralympic Games Act」制定(時限立法)
⇒商品・サービスなどの排他的の権利の付与やイベント会場付近などでの広告規制など
・2014年FIFAワールドカップブラジル大会
2012年に「The Law of World Cup」の制定
⇒FIFAエンブレム、大会エンブレム、公式マスコットや類似するものの使用禁止、会場周辺におけるマーケティング活動の禁止など