トレモロである。


ギターを始めて、禁じられた遊びが弾けるようになると
次に挑戦したくなるのがアルハンブラ宮殿の想い出だ。
ある程度練習を積めば、とりあえず弾けるようにはなる。
しかしトレモロの粒を揃えて、人に聴かせるくらいになるには
相当な練習が必要である。


右手のパターンとしては、まずルートの音を親指で弾き、
薬指、中指、人差指の順でメロディとなる音の弦を
続けざまに爪弾く。
この一連の動作で半拍分。
親指はコードの音を順に響かせながら、
3本の指は、同じ音を鳴らしながらメロディを奏でる。
メロディは、ぽろろろぽろろろと聞こえる。


正確に32分音符を刻まないと滑らかに聞こえないし、
メロディを奏でる3指は同じ音量にしないと変な抑揚に
なってしまう。


でも下手なりに自己満足的に弾いていると
実に気持ちいい。


曲はマイナー(短調)から始まるが、途中からメジャー
(長調)に変わる。禁じられた遊びや久保田早紀の異邦人
もしくは野獣王国の春夏秋冬パターンである。
エンディングに近くなると曲の終焉を予感するように
メロディのパターンが変わる。


高校の時、放課後の音楽室で、同じくこの曲が弾けた
友人とふたりで一緒に弾いていたら、
いつの間にか音楽の先生が聴いていて
上手い、と賞賛されたのはいい思い出だ。
実際には上でも書いたように自己満足だったのだが。


この曲を手書きで写した楽譜は、今どこに行ってしまったろう。

村治佳織さんの演奏