ネコが大好きなぶどうさん。

小さい頃から、ネコが大好き。


大好きだけど、飼ったことはない。

その理由は、親が動物嫌いだったから。


嫌い、といっても、もともとは犬を飼っていた。

犬種はスピッツ。

そう、遠い昔、一般庶民にブームをよんだ、あの白い犬。

その犬が死んだとき、もう動物は飼わないと心に誓ったらしい。


ネコを飼いたいなあと思う気持ちはあったが、どう考えても親がうんといいそうにはないことはわかっていたため、こっそり他所んちのネコを触りに行って遊んだりしていた。


でも遊ぶのは、ネコだけ。

グッズを買うのも、ネコだけ。


何ゆえネコだけなのかというと、ぶどうさんは犬が苦手だからだ。

そう、今は苦手くらいだが、以前は大嫌いであった。

嫌いというよりは恐怖の対象であったともいえる。


ネコはどんな不細工なネコでもやっぱりかわいいと思えるが、犬はどんなにかわいい顔をしていても犬でしかなく、かわいいとは思うが一緒に暮らしたいとは全然思えない。


犬とは暮らせない。

もっとも、ネコを飼いたいといっていた夢も今は完全に失せてしまったが。


なぜなら、ネコを飼うということは、家中が大変なことになってしまうことを意味するからだ。

アレルギーのもとになるネコの抜け毛、臭い、トイレ関係の問題、爪とぎ、病気・・・

ネコ関係のブログを徘徊すると否が応でもこれらの問題が取りざたされている。


飼い主さんは、しかし、我が家のネコは子供と同じ、大事な家族の一員であるため、問題はあるがそれ以上の幸せがあると胸を張ってペットと暮らす楽しさを語っている。


なんと天晴れなことよ、奇特な方々よ、と思うものの。

ぶどうさんには決して真似のできないことであると、ネコを飼う夢自体無くしてしまうことにした。


ぶどうさんは、猫と暮らす家よりは、夫と楽しく暮らす快適な家のほうが大事なのだ。


そういうわけで、ぶどうさんはもはやネコを飼う気は全くない。


ぶどうさんがそのような境地に達しているのを知ってかしらずか、夫は夢のようにネコを飼いたいとのたまっていた。。

ネコのために賃貸を返上して家を買うとまで言い出す始末。


ところが、ある地点で、いきなりネコではなく犬を飼いたいというようになった。

ぶどうさんの天敵、犬を、である。


なにゆえ心変わりをしたのかと思い聞いてみれば、職場の持ち家に住む人たちはかなりの割合犬を飼っているらしい。


飲み会の度に飼い犬のことを熱心に聞くうち、とうとう犬派に転向した、という次第。


はじめは聞く耳持たぬぶどうさんだったが、話を聞くうちになにやら犬も悪くないような気がしてきた。

それというのも、ネコの最大の欠点、抜け毛が少ない犬種がいるらしいということ、躾がしやすい犬種もいることがわかったからだ。

ネコはしつけが出来ない。


そうか、犬にはそういう利点があったのかと、今更ながら見方がかわったぶどうさん。


ついいそいそと犬の特徴を調べていくうちに、しかし、希望はみるみるしぼんでいった。

犬と暮らすということは、それなりに手間とお金がかかることがわかったのだ。

それも、人間以上の。


もし犬いや、ネコでもいいが、やはり命を預かる以上は出来る限りのことをしてやりたいと思うのが人情である。


それが一体ぶどうさんに出来るのであろうかというと、わからない。

わからないとは無責任極まりないので、そうなると、もう飼ってはいけないということになる。


考えすぎよと、犬と暮らす方はいうかもしれないが、なまじ人間だけでなくペットへの医療技術が進歩した今、人間より寿命の短い動物達、ペットの介護という問題を避けては通れない。


生き物はなべて尊いもの、犬でさえお犬さま位に考えてちょうどいいのかもしれない。


それくらいの覚悟でもって、時を共にする家族であるペットを迎えることが必要なのかもしれないと飼う前から既に挫折したぶどうであった。