役割を終えるとき。


いつかいつの間にか迎えているそのとき。


自覚するときもあれば、知らぬうちにそのときを迎えている。


時間とともに自分と他者、親と子、夫と妻の関係性は変化していく。


つなぎとめるものは何もない。


みえざる糸でたよりなく互いを結び続けているものは、ただ人の思いだけ。


いつか終える、役割。


既に終えていた、役割。


糸の切れた凧のように自由になった思いはそら高く舞い上がり、元の自分を取り戻し、新しい自分を捜し始める。


もうもとの自分などどこにもいないのに。


新しい自分の定義など要らないのに。


再び地面におちとき、役割を求めて人は人を求める。


はかなくも力強いつながりを求めて。