プチ旅行に出かけるぶどうさん。
いそいそと手荷物を用意し、当日持ってでるものを一通りチェックしながらふと忘れ物をしているのに気がついた。
「そうだ、弁当箱を出そう。」
プチ旅行は列車の旅。
安いチケットを取ったため、列車の時間が調度お昼をまたいでしまう。
目的地に到着してから食事をしてもいいが、食事をするには遅すぎる時間ゆえやはりなにかおなかに入れておきたい。
いつもであればオニギリを持ってでるだけなのだけれど、前回のプチ旅行につかった簡易ランチパックがまだ残っているので使いたかったのだ。
その簡易ランチパックは、100円均一のお店で12枚入り105円のもの。
もちろん日本製。
一枚10円にも満たないランチパックはペラッペラのプラスチック製で、耐熱温度は90度もない。
よく学園祭の焼きそばだとか、産直でオニギリセットが入っていてゴムで蓋を閉じる、あのタイプ。
大きさは弁当箱というよりはサンドイッチ用くらいで小さめ。
夫は満腹で乗り物に乗ると酔うので、大きい弁当箱を敬遠したいらしく、この大きさになったのだ。
前回2枚使ったきりだから、まだ10枚残っている。
積極的に使いたい代物ではないが、そのまま捨てられるから便利だし、なにより使い切りたいのだ。
使い切りたい理由は、かくかくしかじか。
話はさかのぼること一月前。
一泊二日でおのぼり旅行に出かけたときのこと。
やっぱりプチ旅行だった前回、この弁当箱にお弁当を詰めてでかけた。
予定では新幹線の中で食べることになっていたのだが、思いの外早く駅についてしまった。
することもなく待ち時間が長かったので、誰もいない駅の待合室で二人黙々と食べた。
小さな弁当箱はあっという間に空になった。
サンドイッチ用の弁当箱では小さすぎたのだ。
全く足りない量であることはハナから承知ではあったが、夫から文句が出なかったのでまあよしとした。
量が足りないのは、仕方ないと割り切れた。
わりきれたのだが、1つだけどうしても納得できないことがあった。
それは、弁当がはなはだ安っぽかったことだ。
何に比べて安っぽかったかというと、駅弁に、ではない。常日頃夫に詰めているお弁当に比べてだ。
中身は、・・そりゃあいつもよりちょっぴり品数が少なかったが、それでも内容は遜色なかったはず。
それなのになぜ安っぽく見えたか。
理由は明白だった。
お弁当箱だ。
ペラッペラの、透明で横に波々の入った、輪ゴムでとめる弁当箱は中身まで安っぽく見せたのだ。
おかずが超一流品であればそれなりなのかもしれないが、少なくとも家庭のおかずだと、さらにダメダメ度が増す効果があるだけで決しておいしそうには見えない。
駅弁代をケチって家で有り合わせを詰めたケチ弁、にしかみえない。
そう、お弁当箱って、大事。
何気ないおかずを洒落た弁当箱に詰めたらそれだけでおいしそうに見えるよなあと、雑誌や本の弁当の特集を思い返すぶどう。
デパ地下のお弁当や弁当屋のも、値段に比例して入れ物はそれぞれ凝っている。
少なくとも透明プラスティックはつかっていない。
そんなのを使っているのは、安く上げたい屋台やスーパーの惣菜コーナーだけだ。
がんばって弁当作ったのに、そんなあ・・・・
思わぬところで弁当箱の威力を発見し、夫の弁当箱を高級弁当箱に買い換えようかともくろみ始めたぶどうであった。
まあ。でも今回はやっぱり使わせてもらいましょ。
旅行中に弁当ガラを持って回るわけにはいきませんものねえ。
後8枚。
もう4回はプチ旅行に行けってことですかなあ。