みかんといえば「運動会」という連想をするぶどうさん。
ぶどうさんの世代の運動会はたいていが秋で、運動会のときは緑色の極早生みかんの輪切りが弁当に入っていたものだった。
まだまだすっぱい早生みかん。
匂いは独特で青臭く、味は若干水っぽく、そしてすっぱい。
けれどこの酸っぱさと薄い皮を覆うまだらな緑色、そして鮮やかなオレンジ色は、暖かい晴れた秋の運動会の思い出と重なってぶどうさんの心に残ってる。
ぶどうさんの故郷は西の国のみかんの産地でも知られている。
みかんはとても身近な存在だった。
けれどぶどうさんはみかんが好きではない。
あまりに身近過ぎて、いつでもどこでも溢れている安い食べ物、というイメージしかない。
一方みかんの産地はりんごの産地にはなりえず、りんごは貴重品。
ぶどうさんはりんごがことのほか大好きだった。
りんごは高級なイメージ。
ところが北国に来て、その認識は一変した。
味はともかくとして、りんごが安いのである。
そして沢山売っている。
大きいもの、見栄えのいいもの、人気の品種は高いけれど、そこそこのお値段で手に入る。
ぶどうさん、狂喜乱舞、りんご三昧~。
ところが、北国の人たちはりんごは自家用ではなく贈答用。
みかんや柑橘類が殆ど取れないからか、スーパーではみかんのコーナーに足を止め、好んで買っていく。
だからかりんごも勿論買うけれど、スーパーにはみかんが箱積みになっている。
こりゃあ一体どういうことか。
その様子を見て、人間とはないものねだりなのだなあと思わずにはいられなかった。
北国の人はみかんを有難がり、りんごは贈答用。
西の国の人は、りんごを有難がりみかんも食べる(そう、贈答用って言うより食べる)
うん?・・・みかんって、りんごより生産効率がいいのだろうか?
こう考えると、みかんのほうが沢山取れて沢山の人にいきわたるってことなんだろうか。
北国に来て、やっぱりりんごが好きでみかんは食べないけど、店先のみかんの色が変わっていくのをみると季節を感じてしまうのは西の国の人の性であろうか。
今年もみかんの季節がスタートした。
去年のみかんは豊作だったっけなあ、そうじゃなかったっけかなあ。
正月の葉つきみかんの味は、その前の年のよりはよくなかったから今度はおいしいかもなあ、などと殆ど食べもしないくせに妄想だけは膨らますぶどうであった。