マンションにするか戸建てにするか、それさえ決めかねているぶどうさん。


どちらにも利点欠点がある。

それを天秤にかけて決めるしかないのだろうが、なにしろ人生最大のお買い物の1つゆえ、そう簡単にはきまらない。


以前は絶対にマンション派であった。

なぜなら、戸建ての欠点を充分知っていたから。


ぶどうさんも夫も、実家は戸建て。

田舎の平屋で、庭付き。

こう書くと聞こえはいいが、それほど広いわけじゃなく3LDKのマンション位の間取りと広さくらいしかない。


かなり田舎にあり交通機関が限られている上学校は遠く、近所にスーパーはなかった。

庭は草ぼうぼう、蚊がわんさかいて蛇や蛙だけじゃなくありえない位大きい毛虫が大発生したりするようなところ。


台風がくれるとなれば大騒ぎで用意をし家は揺れ、大雨が降れば浸水におびえるという始末。

ぶどうさん、この家の体験により決して庭付きの戸建てになんか住みたくないとずっと思っていた。

アパート暮らしをして、心底ホッとしたのはいうまでもない。


その一方で、アパート暮らしには戸建てにはない苦労があることを生活してみてはじめて知った。


結婚してから今まで住んだアパートは、築年数が30~40年以上経った古いものばかり。

とにかく建てればいいみたいなつくり。


設備の古さや不足のことは、この際おいて置こう。

問題はやはり作りにある。


壁は薄く、床や配水管から音が響き、外気との温度差で結露してカビだらけ。

建築基準がゆるかった時代に建ったせいで、耐震性の問題もある。


特に問題だったのが音。

床は直張りなのか足音が響き渡るし、壁からも音が漏れでてくる。


下の階の住人に迷惑をかけないよう気を使い、上階の家のみならずどこから発生するのかわからない音に悩まされ続けている。

現在は最上階であるにもかかわらず、それでも聞こえる足音に昼間でもうるさくてなかなかゆっくりできないのが実情だ。


マンションを買うならばさすがにこんな古い物件を選ぶことはないし、床や壁の基準だってあるんだし今が最低ラインと思えばそんなに心配することはないかも、と思ったりもする。

それでも音の問題は主観の問題であり、さぐってみればどんな新しいマンションでも発生しているようだから安心ならない。


道路から引っ込んだ静かな環境の戸建てに住んでいたため、ぶどうさんは音に神経質なのだ。

そうなると、マンションは選べない。


数々の利点のあるマンションの、根本部分で妥協できないのだから選んではいけないということなのじゃないかという結論になる。


けれどマンションの利点を考えると、戸建ての欠点と天秤にかけて捨て置くこともできず、堂々巡りをしてしまう。


そこでもう一度原点に立ち返って考え直すことにした。