用事もないのに、前を通ったからという理由でお店に入ったぶどうさん。


お目当ては生鮮品。

冷蔵庫のどこにも入れるところがないというのに、それでも購買意欲だけは旺盛で困ったものである。


生鮮品の棚を順に眺めているとき、ふとなにやら見覚えのあるパッケージを発見した。


もしや・・・いや・・・こんな田舎にあの入手困難なお菓子があるはずがない・・・と思いつつ近寄ってみると。


なんと、○○○のラスクがあるではないか!

しかも化粧箱ではない簡易包装とばら売り。


ラスクといえば昔は地元パンやかヤマ○キなど工場パン屋が出しているものしかなかったが、近年あちこちで売られるようになり、とうとうお土産品にまでなった。


どこそこのお土産に○○のラスクを買うというのがはやりなのか、夫は会社の人のお土産といっていろんなラスクを持ち帰る。


そういったお土産ラスクをいろいろと食べたが、やはり一番おいしかったのが○○○のラスクだった。


もともとはいつも話題のお菓子を選んで贈ってくれる伯母が大きな缶入りで送ってくれたのがきっかけだった。

ぶどうさんは以前からパン屋のラスクが好きだったのだが、夫は興味を示さず。

しかし、○○○のラスクは夫のつぼだったらしく、とうとうはまってしまったのだ。


○○○のラスクって、単純にフランスパンに砂糖とバター塗っただけ。

そのシロモノがいろんな工夫を凝らしたものよりずっとおいしいのがなぜかはわからないが、とにかく好みにあった。


そのラスクが目の前にある。

簡易包装だからお安いだろう。

そう思ってお値段を確かめたところ。


8袋入りで980円。

バラで126円。


うーん。

高い。


正直言って、もとがもらったお菓子だったので高いか安いかなんて知らないし、そもそも商品のお値段がわからない。


バラよりは8袋入り簡易包装が安いのはわかるけど、それでも120円超。


ヤマ○キとかだったら、以前パンコーナーでチェックしたとき80円位だったような気がする。

それと比べて約50円も高い。


ヤマ○キのは一度試したがてんでおいしくなかったので今後買うことはないけど、○○○はおいしいからやっぱり買いたい。

でもちょっとラスク1袋に120円以上は高すぎるのでは?


一人で悶々とお値段と格闘しているところ、夫がやってきたので買うかどうか聞いてみた。

なにしろ、ぶどうさん以上にこだわって食べていた夫のこと、絶対買うというに違いない。

なにしろ都会に行かずに、並ばずに、送料を出すこともなく買えるんだから。


すると夫は一言。


「買わない」


てっきり買うと言うとばかり思っていたぶどうさんは拍子抜け。

こんな田舎に、千載一遇とはこのことなのに、なんで?!と思って聞いてみたら、


「高いじゃん。買わないよ」


うーむ、そうきたか。

確かにラスク8袋に1000円近く出すなんてアホだ。


夫の鶴の一声に決心がつき、ぶどうさんは正気に戻ってお店を後にした。


けれど諦めがつかないぶどうさんは、○○○のラスクって一体いくらするんだろうという疑問で頭が一杯。

帰宅後すぐにメーカーのHPを検索して探ってみた。


すると。


簡易包装8袋入りだけじゃなく13袋入り、箱いり、缶入りなどいろんなバリエーションがあることを確認しそのお値段に驚いた。


なんと、バラ一袋換算70円台。

8袋入りで600円台であった。


バラで50円、8袋で300円以上ぼられている・・・・・


夫の判断は正しかったのだ。


けれど送料や支払いの手間を考えるとやはりあの時買えばよかったのかもという思いは拭い去れない。

この思いはしかしすぐに覆された。メーカーのHPをよくみると、送料600円負担だけであった。


つまり。バラで、とか8袋だけしか欲しくないなら、自分の町の、いつ入荷したかわからないその商品を買ったほうがいいけど送料を払っても8袋2個かうならトントンだ。

それより多く欲しいならメーカーに直接頼んだほうが、新しくてかつ安く手に入ると言うことがわかった。


なーんだ、そうか、あの時買わなくてよかったんだ・・・・


夫の正常な感覚にすっかり感心しつつ、あまりのぼりように頭にきた。

あの店は8袋入りを2つ売れば、若しくはバラを12個売れば元を取れるし、それ以上になるとかなりの利益になる。

利益になるのが悪いと言うのではなく、何も知らないお客さんをだましているようで気分が悪かった。


なにより売れるかどうかわからないというほどの値段にして店にリスクを負わせるような利潤を組み込むなんてばかげているとさえ思った。


売れるようにすれば、リスクなんてないのにね。

こういった商品は商品自体に売る側の利益も含まれているはず。

それを超えての利益って一体何のつもりだろう。


いくらで売ろうが店の勝手だけど、何にも知らない地元のばあちゃんや観光に来たおばさん達が買っていく店なので、ちょっと切ない気がした。


こういう商品をいくらだったら買うか。

ぶどうさんなら許容範囲は100円~150円アップまで位。

本体価格で言えば1割~1割5分増しまでか。


お取り寄せの手間と送料がそれほどかからずに身近に手に入るなら、商品価格にちょっと上乗せした位でも許容範囲なら買う。


常に定期的に入荷され、はけていく商品ならいざ知らず、動くかどうかわからない商品で、本体の半分も価格上乗せした商品は基本的に買わない。


大した手間や送料のかからない商品は通販で直接頼んだほうが新しいものが来るし、気になるほかの商品だって注文できるからそっちで買う。


地震後スーパーの便乗値上げなどは殆どなかったし、どんなお店で買っても価格は常に良心的だと思っていたけど。

600円台のものを本体の半分以上価格上乗せするなんていう商売が普通にあるとは、にわかに信じられなかった。


いくらなら買うか。

ラスクに1000円はやっぱり無駄だ。

それが見抜けなかったぶどうさん、お値段以上にいろんなことに目がくらみすぎていたと言うことだろう。


主婦だからこそ、なんでも客観的に物事をみてよく値段と言うものを知っておかないといけない、というところだろうか。


○○○のラスク、お気に入りに入れたから今度注文でもするか。

ご近所さんにおすそ分けしたら喜ばれるだろうしね(その分無駄に出費するってことは頭にはないらしい)