固形カレールウを何年ぶりかで購入したぶどうさん。
早速1箱4皿分を使ってカレー作りに取り掛かった。
ルウの材料と作り方をなるべく遵守して・・・・
手順概略としては
「油で肉や一口大に切った野菜をいため、水を加え20分ほど中火で煮込み、火を止めてからルウを入れ再び好みのとろみがつくまで煮込む」
これで出来上がり。
ぶどうさんはしかし、まず材料に戸惑った。
肉とたまねぎ、じゃがいも、にんじん、油、水しか必要ないらしい。
しかも野菜は1つずつ。
・・・・・少なすぎやしない?
それに香辛料を入れるタイミングが全然ない。
なんだか不安になり、油を温めるときににんにくやしょうがやクミンなどを放り込み、その後野菜や豆を放り込みその代わり水分だけは守って指示通り煮込むことにした。
そう、水で。
・・・・・・・・?ブイヨンか固形スープの素って入れないの?
なんだか釈然としないが、そういうのは必要ないらしい。きっとルウに入っているのだろう。
この段階でいろんなハーブや調味料などを放り込むぶどうさんだが、固形ルウを使ったカレーにはそういったものは一切必要とされないらしい。
野菜が煮えるのを待って、おもむろに花形である固形ルウを入れ、煮込むこと10数分。
失敗したのかとさえ思えたさらさらのカレーは、時間を待つごとにとろみを増し、いつしかどろどろになった。
そして、なんともいえないいい香りが漂って来た。
まさに、カレーっぽいにおい。
それでもぶどうさんは不安だった。
お酒もハーブもトマトも何にも入らないのに、おいしいはずはない。
ニオイは一人前だけど、味が激マズだったらどうしよう?
味見したい心を必死で押さえ、もう我慢できなくなって恐る恐る味見をしてみた。
!!!
「普通の味だ!」
ぶどうさん、第一声。・・・・普通の味。
可もなく不可もなく、普通という意味ではない。
それは、おいしいまずいという味の範疇にはなかったのである。
そう、普通の味、普通にレトルトカレーと同じような味・・・・・・・・
そういう普通だったのだ。
わざわざ材料切って鍋で煮込んでレトルト味のカレーを作ったというか・・・・
まずくて食べられないことはない。
充分食べられるし、悪くはない。
でもおいしいかどうかと尋ねられると・・・何といっていいかわからない。
わからないけれど食べるに不足はなく、その日の夕飯に夫とともに珍しいカレーを楽しんだぶどうさん。
これはこれでいいのかもしれないと、一人納得することにした。
これが、日本の普通のカレーの味かもしれないし。
ぶどうさんのカレーがすごく本格的でおいしいかというと、そうでもない。
そうでもないけど、自分の作るカレーがレトルトとも固形ルウとも、本場カレーとも全然ちがう謎の料理であることだけは理解できた。
・・・これは、なんとかしなければ。
その後、この熟カレーについての評価をWEBで確認し、どうやらこの商品に賛否両論あることを知った。
どうも、あれが日本の普通のカレーの味、というわけでもなかったらしい。
そうなると、しばらくはいろんなメーカーのカレールウを試す必要があるかもしれない。
今は昔と違ってフレークタイプのルウもあるし、それらを試すだけでなかなか面白いことになるのではないだろうか。
ムフフ、と先の楽しみを見つけた気持ちになりつつも、ただひとつ、気にかかることがあった。
市販のルウの最大の欠点のことを。
そうだった、そういえば、そうだった。
この欠点ゆえ買わなくなったのをやっと思い出した。
手軽さに潜むこの欠点は、ぶどうさんにとって長く付き合いたい相手ではなかったのである。