ぶどうさんは専業主婦。


転勤族の妻だから・・・というのは建前で、一芸に秀でているわけでなく、手に職があるわけでないので職にありついていないというのが真実だ。


自由人的性格が災いして社会に適応してないのかもしれないが。


専業主婦って、丸一日行動は自由だが、丸一日なにかに縛られている。

いつでも休めるが、いつも休めない。


朝から夜寝るまで、何かしら家の中のことをこちょこちょやっているし、やって当然と思われているフシがある。

まあそれがいわゆる仕事なんだから仕方ないのだけど。


専業主婦を長くやれば、それこそ家事は何でもこなせるしお料理もかなりお上手でしょう、なんておもわれるけど。


私は料理が苦手だ。

苦手、というより自分の料理をおいしいと思わない。

かといって、レストランやデパ地下の惣菜をおいしい~と思ったりもあんまりしない。


自分の舌にあう料理がどういうものか、実はまだまだよくわかっていないのだ。


結婚当初はいろいろとチャレンジャーなものを作っては夫の顰蹙をかって来たが、変わったものを嫌う夫が食べるものを作ることにしたら、途端にお料理にエンジンがかからなくなってしまった。


なんだか、マンネリの食事。

変わり映えしない食卓。


それに拍車をかけたのが、べジー生活であった。


作っても食べてもらっても楽しめないし、夫が食事をどう思っているのかと思うと気持ちは沈んだ。


けれどあれほど考えてはじめたべジー生活は、数年後あっけなく終結宣言をすることになった。


べジーをする意義や意味が、だんだんわからなくなってきたからだ。

また、体にとってよかったかというと、なんともいえなかった。


ある特定の食事療法や主義を貫く人が必ずしも心も体も健全とは言えない、というニオイを嗅ぎ取ってしまったせいかもしれない。


充分な栄養的知識を持っていないということが、私に不安を与えていたのかもしれない。


とにかく、べジーはやめたのだ。肉をばりばり食べたいとはおもわないけど食べてもいいことにしよう。


なんだか少し自由になった、けれどちょっぴり罪悪感にさいなまれる、そんな妙な気分を味わうことになったぶどうであった。


つづく