十得鍋の便利さに感心しながら、なぜか不便を感じていたぶどうさん。


その理由は意外なところにあった。


十得鍋に残りものを入れて冷蔵庫に入れられるのは便利だけど、そうなるとその鍋は使えない。

使いたいサイズの鍋が塞がっている場合、他の鍋を使わねばならないということに気がついていなかったのだ。


多層鍋は保管鍋ではなく使う鍋。

後から考えてみれば私の鍋の使い方が間違っていたのだが、とにかく鍋が足りないから買い足そうという方向で検討を始めた。


買い足す鍋は、いつでも使えるようにフリーで、ちょっと茹でもの、ちょっと炒め煮、ちょっと温めにつかえる、そんな鍋。

できれば片手で使える鍋がいい。

そして欲を言えばしばらくの間中身が冷めないような保温性能のある多層鍋。


私は小さめの鍋が大好きで、ミルクパンの大きさのものが2つ、味噌汁専用の鍋を別に持っている。

これらは十得鍋とカウントが別。


この代わりをするもの、だから1個では足りない。

少なくともこの希望に沿う鍋が大中小あったほうがいい。


ここまではすんなり決まったのだが、難航したことがあった。

鍋の様式が決まらないのだ。


ちょっと使いの鍋、なんだから行平でいいとおもうのだが、私の希望に合う行平は限られている。

そして行平には残念なことにぴったりの蓋がない。


どうせなら多層鍋にした方がいいという結論に達するものの、値段と品質のバランスや、デザインが気に入らないなど条件が折り合わない。


いくら考えても結論はでなかった。


埒が明かないので結論を出すのは先送りすることにした。

それまで十得鍋でいろんな可能性を試していたわけではないことに気がついた私は、使い方や用途を含め見直しをした。


すると、十得鍋はよく作られた鍋であり、炒め物と揚げ物以外はこれで結構うまくできるとわかった。

また残り物の保管用の容器を別に用意すれば、すべていつでも使える状態でいられることに気がついた。


要するに使い方が間違っていたわけだ。

これだけの十得鍋で充分なのではないか、そう頭でささやく声がしてきた。


そもそも十得鍋を買うまで一体自分がどんな調理方法をとっていたかよく考えることにした。


煮るなどの保温調理はシャトルシェフで行ってきたが、他の殆どの調理は実はフライパンで行ってきていたのだ。


それも、1個500円程度の安物のテフロンの直径が22センチほどの深型フライパン。

調理の手順を考えながら使っては洗い、を繰り返してこれで毎日料理をしてきていたのだ。


このフライパンが実に便利なのだ。

ひとつだけ調理器具を持つ一人暮らしの予定の人にはぜひ、と勧めたいくらいだ。(下記の理由によりすすめないけど)


残念なことにこの手のフライパンは消耗品だ。

大事に使っても3年持たない。

365日、日に何回も何にでも使っていれば当然と言えば当然なのだけど。


そして、テフロンのフライパンは扱いを間違えば有害であるらしいこと、劣化してはげてしまった塗料が口に入るのも気持ち悪いので、私としてはこのフライパンを卒業したいと思っていた。


どれを買うべきかわからず鍋の結論はでないが、とにかくこのフライパンの代わりをするものを買えばいいのだと、このときやっと気がついたのであった。


ここで問題が一つクリアになった。

十得鍋では上手に炒め物ができない。多分他の多層鍋も同じだろう。

このフライパンは、おいしいかどうか別にして炒め物はできる。


鍋の形状のものを買うのでは、このフライパンの代わりができない。

鍋の数は本当に足りているのかどうかまだわからないが、このフライパンを手放すなら炒め物ができるものが必要だ。

テフロンでないもので、小さくて、万能タイプ。


あれほど頭を悩ませた鍋のことなどすっかり忘れ、頭の中はフライパンの選定で一杯。


この日を境に多層鍋からフライパンハンターへと華麗なる転身を遂げ、毎日通販サイトを駆け巡ったまっこと単純なぶどうであった。



・・・・つづく~かな~