冬はともかく、夏にパジャマを着たことがない。
正確には、なかった。
以前住んでいた町々の夏の夜は恐ろしいほど暑くて、パジャマどころではない。
Tシャツに短パンが定番であった。
しかし、ここ北国では事情が違った。
夏でも夜は快適を通り越し、寒い。
家の中はまあまあ適温が保たれてはいるのだが。
就寝時に布団を掛けるには暑く、なしにするには寒くて、調節が難しい。
シャツ一枚で寝ると寒さに震えることになる。
何年も着ておらず、もう捨てようと決めていた無用のパジャマ。
それがここに来て初めて役に立つときが来た。
パジャマの上下を着るのは、一体いつ以来だろう。
捨てよう、と決めていたのに、生活様式が全く異なるところでは必要になってしまうなんて。
これだから、わからない。
ステラレネーゼに、またしてもいらない言い訳の隙を与えてしまった北国生活。
でもまあ、このパジャマ古いし飽きたし、新しいものを買い換えても罰は当たらないよね?
なんて。
夏物のパジャマなんて、北国以外では必要ないだろうに。
やっぱり物欲まみれのぶどうであった。