食べ物に好き嫌いのない私ではあるが。


やっぱり好き嫌いはあるのである。


基本なんでも食べられるのだが、もしわがままを言えるならばやっぱり食べたくないものはある。


食わず嫌いはない。

食べた上で嫌いなもの、はある。ほんの少しだが。


困るのが、においの強いもの。

においが好きじゃない場合、味も嫌いなことが多いのだ。


ある日、私はどうしても食べるに我慢できないとあるものを、意を決して処分した。


そのとあるものとは。

ゆずジャム。


私はゆずが嫌いなのだ。

それなのに冷蔵庫には2瓶もの手作りゆずジャムが。


もったいなくて、何とか食べきろうと、パンに塗ったり飲んだりしようと試みたのだが。


殆ど苦行であった。


どうしても食べられない。気分が落ち込んでしまうので、とうとう廃棄を決めて処分した。


きれいにビンを洗い、水きり棚の上に載せてそのまま忘れていたのだが。


ゆずとはすごいもので、においがビンのふたにしっかりと染み付いてしまっていた。

こんなににおいがついているならビンは捨てるかな、などと考えながらゆずの残り香を嗅ぎつつ台所仕事をしていると。


なにやらへんてこなにおいが漂いはじめた。


あまりに変なにおいで、もしやガス漏れか?!と辺りを見まわすがその気配はなく。

ゆずのにおいがこんなに変化するものか????と首をひねっていたそのとき目にしたものは。


水を張ったたらいの中のほうれん草に黒い影。


よーく目をこらして、その不思議な物体をしげしげと眺めて仰天した。


叫び!!カメムシ!!叫び


ああ、そうなのか、地場野菜のほうれん草にそのままくっついていた君が犯人か。

どうりで臭いはずだ。


これはゆずどころではない。


慌ててほうれん草をそっと引き上げ、目に付いたティッシュでカメムシをむんずとつかみそのままベランダへ。


アパート3階からカメムシを突き落とし、やれやれと一息ついた。

そしてその瞬間。


ティッシュとティッシュをつかんでいた私の手にカメムシのにおいがしみ込んでいるのに気がついた。


ああ、ご飯の支度の途中だったのに(ノ◇≦。)


カメムシ味のサラダやおひたしを食べる羽目にあうのは真っ平なので、小一時間作業の中断を余儀なくされたぶどうであった。


しかしなあ、カメムシ君、1週間近く冷蔵庫でよく生きてたなあ・・・・


( ̄□ ̄;)


・・・てことは、野菜室はカメムシ繁殖の危機だったってこと?!