結婚以来がんばってくれた、冷蔵庫やオーブンレンジをついに買い換えた。
冷蔵庫はともかく、オーブンレンジの機能の多さに驚いた。
10年以上前のレンジにはついていない機能ばかりで、使いこなせそうもない。
実を言うと、前のレンジも多機能で自動調理メニューなるものがあった。
けれど、温めとオーブン機能を手動でしか使っていなかった。
必要なのはそれくらいなのだ。
ではなぜ多機能なものを買ってしまったか。
その理由は簡単。
庫内が広いものは、大抵最高機種であり多機能だというそれだけの理由。
また以前買ったものが長持ちしたのは、変に中途半端な安物を買わずじっくり選んだからだと考えたのだ。
機械ものの機能は、単純なほどいいという考えを持っているが、レンジに関しては業務用以外はすこぶるややこしい機種しか存在しない。
まあそこら辺は適当に妥協することにした。
どうせ使うのは電子レンジとオーブンくらいだから。
使うのも簡単だろうとたかをくくっていたものの。
取扱説明書を読み進めるうちに、だんだんとわけがわからなくなってきた。
あまりに禁止事項や注意事項が多すぎるのだ。
はっきりいって必要ない機能満載のレンジに、注意事項満載の取扱説明書は頭の中で理解しずらく、もてあましてしまった。
ただいま四十路。
次に買い替えするときは六十路前後。
いったい私は、より進んだ最新鋭のオーブンレンジを購入し取説や操作を理解できるのであろうか。
暗澹たる気持ちになりながら、まずはこの目の前の機械を使いこなしていくしかないと鉢巻を締めなおすぶどうであった。
マダムは前向きな女。どんなときも新しい物にチャレンジし、ものにして行こう