旅行のとき利用するホテルは、殆どが安ホテルだ。
泊まるだけなので、安全であることは大前提として、まあまあ清潔で便利なところにあれば十分だ。
高級ホテル志向は全くない。
高級ホテルには、そのよさが十分あるのだろうが、私にとってあまり意味を成さない。
そのお金を出すくらいなら、いいものを食べるか、マシなところに住むほうがいいから。
家賃を考えると、一泊何万もするホテルに泊まるのは、どうかしているとしか思えないからだ。
もっともこれは単に私の価値観なので、高級ホテルが好きな人は泊まればいいと思う。
この連休に泊まったホテルも、安い部類のホテルだった。
ビジネスホテルよりはちょっといいくらい。
けれど新しくてきれいにしてあり、室内も広く、なかなか良かった。
冷蔵庫には、ホテル側が提供した水やお酒などなく、何も入っていない。
これは大変ありがたい。
おかげでお土産や飲み物をそのまま入れることができた。
何も入っていないので、清算時の面倒がない。
最近は値段は抑えめで無駄を省いた、新しいホテルが増えている。
利用する側としてはとてもありがたい。
今回利用したホテルで感心したのが、その作り。
部屋にはベッドがあり、作り付けの棚と椅子が一脚あるだけ。
トイレとシャワー室がそれぞれ引き戸で続いていた。
ホテルとしてはゆったりした空間ではないが、この作りは私の家作りにとても参考になった。
大きな地震を間近に経験して以来、寝室には家具をおかないことにしている。
よってうちの寝室には家具はない。
けれどかなり殺風景で、機能的ではない。
どうやったら機能的でかつ安全な寝室、そのうえ快適な空間を作るかぼんやり考えていたが、このホテルに滞在したことで少し考えがまとまった。
作り付けの棚にベッド、そして寝室続きのトイレにウォークインクローゼット。
こういう間取りにしたいと思っていても、なかなか具体的に良いか悪いか知ることができない。
それをホテルで疑似体験することで、快適度や勝手を知ることができるとは思わなかった。
また、私のみならず夫の意見を聞くことができ、ぼんやりした家作りがちょっぴり現実味を増したことは素晴らしい前進だと思う。
高級ホテルには高級ホテルに学ぶところは多いのだろうが、実際の家作りにはこういう普通のホテルのほうが勉強になるのかもしれないなと、安ホテル志向を肯定するぶどうであった。
マダムは目ざとい女。必要なものを鋭く見抜き、自分のものにする観察眼を鍛えるべし