「三河雑兵心得(9)上田合戦仁義」(井原忠政、双葉文庫)は「三河雑兵心得」シリーズの第9弾。「この時代小説がすごい!2022年版」文庫書き下ろしランキング第1位の作品で、最新巻「三河雑兵心得(10)馬廻役仁義」は11月発売予定のようです。
主人公の植田茂兵衛は三河の百姓から身を起こし、波乱万丈ながら、今では徳川家康の足軽大将まで出世しました。本作の時期は小牧長久手の戦の後で、クライマックスは真田氏と戦う上田合戦。上田合戦は2回あり、今回は1度目の合戦です。
ご存知のとおり、結果は徳川軍の完敗。敗走のなか、茂兵衛の率いる鉄砲隊は殿(しんがり)を任されることになります。茂兵衛の運命やいかに、という心憎い展開です。