オルタナティブ・カメラ -6ページ目



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未だ、地球にて
             

文学や音楽、映画等と違って写真を芸術だとは思っていなかった。

例えば家族が思い出を記録するための実用的な道具であり、

「写真撮った?」のようなものと捉えていた。

芸術はそもそも実用的なものだったが、「映画撮った?」や「作曲した?」等は

日常会話で使われることは殆んどないし、芸術作品は無から何かを創り出すもので

「パシャ」という具合いに産み出せるものではないと思っていた。


しかし新たな世界像を提示するのが芸術だとすれば、

その提示を受け手の創造力を介する必要性が低いという意味で、

写真は作者の提示した世界を最も伝達しやすい芸術だといえる。

視覚に訴える芸術としては映画も同じだが、

映画はフィクションによって真実を描き、
写真は文字通り真実を写す。

真実を知る者、捉えられる者が代償として精神的肉体的疲労に支配され、

病気などあらゆる身体的な制限を科せられていても、

写真を使って真実を残すことが出来る。
現実の世界を掌握する手段の容易性に写真は優れていると思う。

文章を書いたり(人物や物体を描写したり)

ピアノを弾いたり(練習したり)

メガホンを取ったり(人脈を作ったり、段取りを整えたり)

する余裕のない物理的な制約に縛られた隠密の

最後の可能性が写真なのかもしれない。