物語の主人公は小児精神科医として子ども達を心の病から救う事を生業とする【マルコム・クロウ】。物語の冒頭ではマルコムの功績を称えて市から贈られた賞を、彼の妻である【アンナ】と共に眺めながら、互いに喜びを分かち合っていた。

しかし喜びも束の間、クロウ夫妻は部屋の窓ガラスが割られている事に気付く。警戒しながら家の中を捜索すると、浴室の中に男が立っていた。

マルコムが「ここは私達の家だぞ」と警告すると、男は「僕を覚えてないのか!患者の事も忘れたのか!」と訴える。

実はこの男は【ヴィンセント・グレイ】と言い、10年前にマルコムの治療を受けていた元患者だったのだ。

マルコムのおかげで心の病が治ったはずのヴィンセントは、泣きながら「僕の症状は治らなかった!」と叫んでマルコムの腹部を銃で撃った後、自殺する。

時間は大幅に飛んで、翌年の秋。
ヴィンセントに撃たれた後も小児精神科医として働いていたマルコムは、ヴィンセントによく似た症状を持つ【コール・シアー】と出会う。
最初は警戒心を顕にしていたコールは次第に心を開いていき、マルコムに秘密を打ち明けた。

「僕は幽霊が視えるんだ」
「幽霊達はみんな普通に過ごしてる」
「自分が死んだなんて思ってない」
「幽霊は見たいものしか見えない」

マルコムはコールの秘密に対し理解しているような言葉を言いつつ、幻聴や妄想の可能性を危惧した。

マルコムは結婚記念日の夜、レストランで食事をしているアンナにコールの事や、コールがヴィンセントに似ている事などを語る。
しかしアンナはマルコムの言葉など聞こえていないかのように振る舞い、「結婚記念日おめでとう」と呟くように吐き捨てて去っていく始末。
マルコムはヴィンセントを救えていなかった一件で妻の心が離れてしまったと感じていて、ひとり苦悩していた。
そんなマルコムに、コールは「奥さんが寝てる時に話しかけると良いよ」とアドバイスする。

アドバイス通り、マルコムは眠りについているアンナに話しかける。
すると、アンナはマルコムの名を呼び、「何故、私を置いていったの」と囁いた。
マルコムは思わず「君を置いていくわけないだろ」と反論するが、直後、身じろぎしたアンナの手から何かが転げ落ちる。
マルコムが目で追うと、それはお揃いの結婚指輪だった。
驚いたマルコムが自分の左指を見るが、そこには何もない。

マルコムは、ヴィンセントに撃たれた時点で死んでいたのだ。

全てを理解したマルコムは、アンナに「いつまでも愛しているよ」と告げ、成仏した。


大まかなストーリーはこの通り。

この映画の素晴らしいところは、最後の最後までマルコムが死者である事に気付かせない点。
実は作中で何度かマルコムが自分の書斎で調べ物をするシーンがあるのだが、現実ではマルコムの書斎のドアは棚で塞がれており、出入りする事は不可能だった。しかし棚を見たくないマルコムは、自分の死を自覚するまで棚がある事に気付くことはない。
そのほかにもマルコムを生者と錯覚させるような描写が多く、まさに「どんでん返し」。間違いなく、2度観ても3度観ても飽きないと思う。








これ程の秀作が何故ホラー映画の棚にあったのかが映画史上一番の謎。