生まれて初めてミサに参加したのは、シッチェスのサン バルトメ イ サンタ テクラ教会です。
実は事前の調べて、その日の朝にサグラダ・ファミリアでミサがあると知っり、そのミサに参加したいと思っていました。
けれど前日にバルセロナに到着して疲れていた私は少し寝坊し、その上地下鉄で降りる駅を間違え!るという失敗をし、調べながら何とかサグラダ・ファミリアの最寄り駅に着いたときにはすでにミサに参加する人の長い列ができていました。
10代ぐらいの男女グループの後ろに半ば諦めながら並ぶのですが、このグループの物語が面白そうと興味津々。
女の子は2人でひとりは黒髪マイペースな感じ、ひとりは明るい茶色のロングヘアにミニスカートをはいて、何も入らなそうな小さいハンドバッグを持っていました。男性は細身のアフリカン2人か3人。
クラブ帰りにノリでミサに参加するのか、とにかく茶髪の女の子は気だるそう。黒髪の子はマイペースであまり茶髪の子を気にしてない雰囲気。一方、男の子たちは茶髪の子に気を使っていました。
もうミサの前から私の心は彼らの物語に神聖なものからどんどん離れています。
不謹慎な私(とその他の列に並んでいる人たち)にとうとう教会の方が「今日のミサは満席です」と宣言し、列は解散になりました。前のグループの気だるい女の子は最高潮に不機嫌になり、その機嫌を懸命に取る男の子たちに彼女はなかなか手強いのではないかしらなどと思いながら、私は隣のひとりで来ていた地味目のかわいらしい女の子と「残念」目を合わせてから、列を離れます。
この女の子からしたら、派手なグループと謎の好奇心旺盛そうな東洋人と一緒になってどんな気持ちだったのか、今思えば申し訳ないことをした。
サグラダ・ファミリアのミサに参加できないなら、もうこのままシッチェスに行ってしまおうと切り替えて、駅に向かいます。
パセオグラシアで中距離電車に乗り換えてシッチェスへ。あまり行儀のよろしくない若者たちが1シートにひとりずつ寝そべれるほどガラガラの車両の片隅で緊張しながら座ります。
朝の降車駅を間違えるという失敗から、自分の勘ではなくGoogleMAPに全面的に信頼を捧げることにした私はGPSを眺めて自分の位置を確認しながら、ぼちぼち景色を楽しみます。
しばらく余裕が出た私は若者たちを観察しますが、この子たちは寝てるだけで動きがない。つまらない。
シッチェスは人気の観光地で、今日は国際映画祭の最終日のはずなのに、夜遊び後と思われる若者たちと私しかいない車両に不安を感じていると若者たちは途中で降りていきました。彼らが去ると心なしか車両の雰囲気も柔らかくなったような気がするので、少し怖かったのかもしれません。
シッチェス駅に着き、カウ・フェラット美術館を堪能した後、街をぶらぶら歩いているとみんなが立派な建物に入って行きます。何となくついて行くと、私の後ろでドアが閉まり、促されるままに隅の椅子に腰掛けたところでこれからミサが始めると気が付きました。
スペイン語なのか、カタルーニャ語なのかイマイチ分からないけれど、思いがけず初めて参加するミサ。厳かな気持ちで参加しつつ、やはり周りに興味津々で周りの人たちの物語を想像してしまう私。
初めてのミサは自分自身のくだらない好奇心と妄想癖を再自覚させてくれました。


