コメントの常連さんの山形のはっちゃんさんからのリクエストで書きます。



今回は平成に開局したTBS系のテレビユー山形、チューリップテレビ(旧名・テレビユー富山)、あいテレビ(旧名・伊予テレビ)と、未開局に終わった秋田ホームテレビ(またはテレビユー秋田)と福井文化テレビジョンも挙げたいと思います。

テレビユー山形 1989.10.1開局

トップバッターはテレビユー山形で、既に1985年に全国4局化構想の時に構想が上がり、いち早く免許が下りました。

山形県は当時、山形の天皇と呼ばれた服部敬雄率いる山形新聞・山形交通の山新・山交グループが幅を効かせており、この山形第三民放局の経営参加を目指していました。

しかし、マスコミ特定資本集中排除の原則に抵触した為、経営参加は叶わず、逆に新局への山新山交グループのCMを一切送らない報復を行いました。

1989年10月にTBS系「テレビユー山形」として開局。サービス放送時に「ザ・ベストテン」が最終回を迎えた事は有名な話でした。

三局化で既存のYBCとYTSの編成に余裕が出来、アニメやドラマの再放送が増加・拡大と同時にYTSは当時のフジテレビ系列番組を増加出来た…筈でした。

しかし、YBCの日本テレビとテレビ朝日とYTSのフジテレビと日本テレビのゴチャ混ぜ編成が解消されなかった為、抜本的な改善には至りませんでした。

その為、当初は視聴率も最下位に甘んじていました。

処が服部天皇がYTSの多角経営と言う乱心を起こし、経営が傾いた為、フジテレビに経営支援を要請しますが、その条件が経営陣の飲める要求では無かった事で決裂し、両者の関係が悪化。

その後、フジ側の鹿谷信隆創業者、YTSの服部天皇が相次いで逝去してから情勢は一変。YTSの株主・相馬大作はこれを機に大きな血を流す事を承知で山形マスメディアの是正を実行。YTSの経営陣に朝日新聞系の人物に交替。フジ側の鹿内宏明議長失脚と日枝新会長就任後の混乱の隙にYTSをテレビ朝日系へネットチェンジを断行。

その影響でテレビユー山形はフジテレビの人気番組を一部引き取る事になりました。

このネットチェンジの影響でYTSは一時経営悪化と視聴率最下位に転落。TUYは二位に浮上しました。

そして、フジテレビ系代替局・さくらんぼテレビ開局後は三位と最下位を行ったり来たりの状況となり、待望の三局目だった筈なのに影の薄い扱いとなりました。


TUT・チューリップテレビ 1990.10.1開局


二番目に開局したのは富山のチューリップテレビで、富山第三民放局は1985年に構想されて、62件の免許申請がありました。

平成新局前後に富山第三局は当初、故・藤子・F・不二雄と藤子不二雄Aの両氏の出身地と言う事もあり、テレビ朝日系列で開局が検討されましたが、富山第三民放局がTBS系列になったのは、TBSが空白県を埋めたかったためです。
テレビ朝日は石川県に系列局を置いた方が効率的と判断し、TBS系列での開局となりました。
当初はテレビユー富山の名称の予定でしたが、色々ありチューリップテレビへ改称となりました。
以前はTBS系にも関わらず、積極的にアニメを放送した為、地元から喜ばれましたが、時代と共に番宣ネットが姿を消したのは切ない限りでした。
一般番組の方はそこそこでしたが、やがて暗黒時代へと突入してしまいました。


ITV・あいテレビ 1992.10.1開局


三番目にして最後に開局したのは、愛媛のITV伊予テレビで、愛媛第三民放局は全国四波化運動の最初期の1985年に構想されて、461件の免許申請がありました。

愛媛第3局はTBSとテレビ朝日が共に進出を争いましたが、編成でかなり揉め、出資者がTBSと親交があった事もあり、「テレビ朝日系として愛媛第4局を開設する」事を条件にTBS系に決まり、結果としてTBS/JNN系最終系列局となりました。
処が、折も悪い事に開局前にTBSの経営が悪化し、再建中だった為に本領を発揮出来ず、既存局に大幅に引き離される結果となりました。

秋田ホームテレビ(未開局)
昭和末期に一度は秋田にTBS系第三民放局「秋田ホームテレビ」の進出が検討されていました。
しかし、当時の秋田県知事や関係者が「秋田第三民放局の開局は地方早尚」と判断した事と、TBSも「秋田県の経済基盤が弱い」と判断。TBSが断念した分、逆にテレビ朝日が積極的に動き、関係者が秋田県出身者が多く、秋田朝日放送が開局しました。
FCT・福井文化テレビジョン(未開局)
そして、TBSの経営悪化と再建計画は福井第三民放局の進出にも影響を与え、福井県の経済基盤が弱い事も断念の一因となりました。TBS系で開局したとしても、ITVと同様に苦戦は免れなかったかも知れません。

MBS発土6アニメ枠は三局共に一貫して同時ネットで放送されました。
MBS発土6アニメ枠は東北放送、テレビユー福島、TBS、テレビ山梨、新潟放送、MBS、山陰放送、テレビ高知、長崎放送、熊本放送、大分放送、宮崎放送、琉球放送でもテレビユー山形、チューリップテレビ、あいテレビと同様に一貫して同時ネットで放送されました。
MBS発土6アニメ枠は北海道放送、青森テレビ、IBC岩手放送、信越放送、北陸放送、静岡放送、中部日本放送、山陽放送、中国放送、テレビ山口、RKB毎日放送、南日本放送では遅れネットで放送されていた時期がありました。
静岡放送に至っては1993年の枠設置から日5への枠移動まで一貫して遅れネットでした。
対するTBS土曜夕方5時半のアニメ・特撮枠はあいテレビのみ同時ネット(過去の新聞で確認済み)、TUYとTUTは一時期遅れネットで放送していました。
三局共にTBSの黄金時代が過ぎてから開局した為、地元でもチューリップテレビ以外は苦戦を強いられたと言え、山形は想定外の事態が重なり振り回されたのは遣り切れないばかりです。