今回のシリーズ展開は、一時は倒産の危機救っただけでなく、ビートマニア等の音楽ゲームと共にコナミの更なる大企業への飛躍の功労者作にも関わらず、無惨な後年を迎えた恋愛ゲームに於ける無敵の女王だったときめきメモリアルシリーズを振り返りたいと思います。


ときめきメモリアル狂奏曲 無印の章


第一楽章 マイナーなゲームに降りた奇跡

1994年、コナミは欧州市場進出失敗や新作が不振に終わり倒産の危機を迎えていました。そんな中、ハード終了が決まっていたPCエンジンで恋愛ゲームを作る事になり、スタッフも謂わば窓際族等のクリエーターを起用し、声優も当時無名の人々を起用し、「窓際クリエイターを養い、そこそこの売上を上げる為のゲーム」として、ときめきメモリアルは作られました。


当然、PCエンジン最後のゲームだからクリエーターも自由に作らせてくれた事で、スタッフは色々な意味で全力を出す事が出来ました。その一方で、当時のユーザーからは「コナミがこんなゲームを出すとは、コナミももう終わりだな」との前評判でした。


しかし、PCエンジン専門誌二誌のレビュアーが「これは面白い」との高レビューが書かれ、NIFTY等当時広まり始めたインターネット等に広まり、1994年5月26日にPCエンジン版ときめきメモリアルは誰にも期待される事無く発売された…筈でした。
所が、そのレビューを聞いたユーザーから大反響を受け、コナミは予想外の事態から急遽「ときめきメモリアル特設会議室」を設け、ユーザーの対応に追われました。


第二楽章 ときめきメモリアルの魅力
ときめきメモリアルは先行した旧elfの同級生の様なゲームシステムと旧ヘッドルーム(発売元へはライセンス契約だった)の卒業のキャラクターを掛け合わせ、両作品の長短所を研究して作りました。(それ故に後年の二次創作や盗作等訴訟には呆れ果て物が言えませんでした。)
本作品の粗筋はプレイヤーの主人公(ここでは高見公人と呼称)が高望みの幼なじみの美少女・藤崎詩織の恋人を目指し、卒業式の日に伝説の樹の下で告白される事を目標にするもので、公人の前に様々な少女達と知り合い、その中から意中の彼女を決める展開もOKで、要するに主人公を操作し、様々なイベントを起こし、最終的には彼女を作るも良し、部活で硬派を通すも良し、帰宅部で遊びまくるも良しの自由度の高いプレイと、高校3年間のシミュレーションまたはリテイクと言えるフォーマット、1980年代に流行したうる星やつら、あだち充諸作品、THEかぼちゃワイン、きまぐれオレンジロード等のラブコメ漫画の世界を手軽に楽しめる事がユーザーからの支持を受けたのかも知れません。
瞬く間に人気作品となったときメモもPCエンジン末期にも関わらず4回再販される程の人気となりましたが、既にPCエンジンの終了も決まっているのと16ビットでは限界もあり、当時の新鋭ハード・プレイステーションへリメイクされる事になりました。
第三楽章へ続く