美しい魂 | ~しなやかに生きる~

美しい魂

中原中也の詩に

  こういうのがある

  

        妹よ

          

 夜、 うつくしい魂は涕(な)いて、


   -かの女こそ当當(あたりき)なのにー


 夜、 うつくしい魂は涕いて、


    もう死んだっていいよう・・・といふのであった。




 湿った野原の黒い土、短い草の上を


   夜風は吹いて、


 死んだっていいよう、死んだっていいよう、と、


   うつくしい魂は涕くのであった。




 夜、み空はたかく、吹く風はこまやかに


   -祈るよりほか、わたくしに、すべはなかった・・・・・



この 美しい魂ってなんだろうと

考えてみたことがある


私は人と接する時

自然にこれを

捜しているような気がする


これを感じられないような人に

どんなに褒められても

どんなに美辞麗句を並べられても


そんなのはいらない

とたんに心が凍りついてしまう・・・


たとえその人が

不器用で 

真の自分の姿とは うらはらな言葉を発していたとしても


そこに美しい魂を

見い出すことができたなら

私はその人を好ましく思う


その美しい魂を

説明しろと言われても

直感としかいえないけれど・・・


この純潔な魂を持った人は

生前の中也がそうだったように

とても傷つきやすい


中也の詩の一節に

こういう部分がある



    幸福は休んでゐる


   そして明らかになすべきことを


   少しづつ持ち、


   幸福は理解に 富んでいる。




美しい心を持った人には


   幸福の方が


      選んでくれる時が


          きっと来る・・・・・