1人では到底息が続かない「永遠に続く絶妙なるピアニッシモ」も、
腹から息を絞り出し酸欠状態でクラクラする「フォルテッシモ」も、
皆が足りないところを補い合うからこそカタチになるのです。
例えば、畑中先生の指示は、「ノンブレス!!!」これだけです。
つまり、この小節とこの小節の間は「息継ぎをしてはならない」と
いう意味です。
息の続く人はもちろん続けて歌います。
続かない人は少し手前で息継ぎをして「そこ」はノンブレスで歌います。
さらに、その先の皆が途切れそうになる部分をがんばる人もいる・・・
誰がどこをどう歌うとか具体的な分担ではなく、演奏しながら、
周りの声を聴きながら、「自分はここを繋げる!」と自らの役目を
自分で決めて果たしてゆくのです。
日々の練習の中で、
来る日も来る日も一緒にハーモニーを創りあげてきた仲間。
音楽への熱い想いを分かち合い、
練習に来なくなったヤツの家へ行ってそいつの心の痛みを分かち合い、
オーディションにパートの皆が受かるように励ましあってきた仲間。
1人じゃないんです。
1人だったらできないことを、仲間とならば成し遂げられるんです。
だからこそ、自分自身を磨くのです。
仲間でいてくれるからこそ、自分自身を磨く責任があるのです。
仲間が支えてくれるからこそ、仲間のために貢献できる自分でありたい。
アマチュアだからこそ、その純粋なハートだけが自分の拠り所なんです。
「音楽は決してウソをつかない」
「美しいものは何の努力もなしに得られない」
練習しかないのです。
そして、それが畑中先生のご恩に報いる、ただ一つの道なのです。
しかし、そのひたすらな練習の中に、確かに見えてくるものがある。
純粋な、ただひたすらな音楽へのあこがれしかないハートだけれど、
そんな皆のハートがひとつになった時、至福の時が訪れるのです・・・
前日の通し練習(ゲネプロ)を終えて、本番当日を迎えます。
2000人以上を収容する東京厚生年金会館大ホール。
客席は満席です。
ステージ上には雛壇が組まれ、4年生が最前列に、下級生になるに
したがって後方配置のフォーメーションで舞台に上がります。
目の前には緞帳が下りています。
曲目紹介のアナウンスが客席に流れます。
「緞帳上がります!」の声と同時に、みんなのダメ押しの咳払い(笑)
舞台の幕が、ゆっくりと上がってゆきました・・・
と、そこまでしかハッキリとした記憶がありません。
まぁ、20年以上も前の話、ってことで。。。(爆)
あのね、一生懸命練習してきたんですよ?
本番も、一生懸命歌ったハズなんですよ?
「何か歌ってる自分がいるなぁ」みたいな感じ(笑)
歌ってるんだけど、「自分の意識」はどっか別のところに
浮かんでいるような感じでした。
声が聞こえないんですよ。
自分の声しか。
今までね、密集隊形で常に先輩がそばにいて
大声で歌ってくれていたんですよね。
自分の声を出してもその中に溶けちゃってたんです。
ところが、本番は舞台上で、雛壇4段目のてっぺんで、
1人で歌っているのと全然変わらない状況だったのです。
そんなこと考えても見なかったんです。
怖かった。
自分の声を出すのが。
夏合宿とは違う恐怖感・・・
だって、目の前に2000人のお客さんがいるんですよ?!
ライトがこっちをジリジリと照らしているんですよ?
隣で先輩が歌っていないんですよ?
早く自信を持って歌えるように上手くなりたいと
心底思った瞬間でした。
それから2年後、3年生で迎えた定演の時。
あるステージが終わった後の楽屋で、後輩の1年生が、
「自分の声を出すのに超ビビリました!
先輩の声が聞こえてきて、すっごく安心しました!」
と興奮気味に話すのを聞いて、少しは自分も戦力になって
きたのかなぁと内心嬉しかったのを今でも覚えています。
相変らず、「自分の声しか聞こえない状況」は変わらない
ハズなんだけどね(笑)
エピローグ
さて、長々とお付き合いくださってありがとうございました。
私がなぜ、こんな20年以上も前の話を引っ張り出してきたか、
というと、今、私たちが直面している状況と同じだと思ったからです。
今般光の戦士のみなさんは、お一人お一人が自分の責任において、
ガヤトリーマントラ108回をシヴァ神に奏上するお役目を
いただきました。
まさに、「自分の声しか聞こえない」という状況の中で、
皆さんは先生を信じ、仲間を信じて10日間のおつとめを
果たされたわけです。
私は、そんな皆さんと共に宇宙のハーモニーを奏でられたことを、
本当に在り難く、そして嬉しく思っています。
戦いは続いています。
でも、私たちは一人じゃない。
これからも、ただただ純粋なハート、熱き想いだけでつながる
「仲間」であり続けたいと願っています。
ありがとうございました。
神軍まもなく発進です。
オーム ナマ シヴァーヤ
オーム ナマ シヴァーヤ
オーム ナマ シヴァーヤ