退き際を知る

 
昨年11月に自宅で倒れ一ヶ月の
入院を経て老健で生活している母。
 
入院前は元気な要支援2だったのが
手術と病院生活で別人のように弱り
要介護4判定を貰った92歳。
 

90歳過ぎても何の不安も持たず、

私は大丈夫と根拠のない自信で、

貯金も無いくせに通販三昧で

何も考えず何の準備もせず

助言を無視して自宅で倒れた母。

 

脱糞したままベッドから半落ちし

固まっている母を発見した時は、

悲しみよりも怒りの方が強かった。

 

老健とは介護を受けながら
リハビリをして在宅復帰を目指す
施設です。入所時はこのまま
順調に衰えて同一建物内の特養に
移ればと安易に考え安心していた。
 
ところが母は衰えるどころか
毎日のリハビリと規則正しい生活、
管理された糖尿食で順調に回復して
元気いっぱいに甦ってしまった。
 
 老健という施設の目的を果たし
退去ということになります。
本来なら元気になって喜ぶべき
なのに「何で回復しとんねん」と
思った自分の残酷さに葛藤する。
 
元気になり過ぎた母が施設内で
問題行動を起こしているとの
報告が事務局から届いている。
もはや老健にいる資格はない。
退去勧告されても文句は言えない
という緊急事態になっているあせる
 
自宅を売却してしまったので
退去したら戻る家はないのに、
本人に全く危機感がない。
 
何回注意しても禁止事項を
繰り返すのは認知症が原因
ではなく、人の忠告を聞けない
マイファーストの人間だから。
 
自分がいる施設が老健だという
ことを母は判っていない。
ひとくちに老人ホームと言うが
8種類に分類されて名称が違い、
金額も種類も仕組みも入居条件も
提供サービス内容も大きく違う。
 
まだ元気で自立可能な90歳前に
介護付老人ホームに入所する
ことを主治医とケアマネと娘で
勧めたのに頑なに拒否された。
 
行動を規制されることなく
今と変わらない自由な生活を
続けられる施設と説得したのに
聞く耳を持たなかった。
 
嬉しそうにお花見をしてるけど、
退去勧告される日は近いです。
老健はあなたがいる場所ではない。
 
 
次の入所先をどうするの?
即入所OKの施設がない時は
ショートステイを繰り返して
順番を待つことになるんだよ。
都度の荷物の移動や契約手続き、
その手間を考えるとゾッとする。
 
どんなに説明しても自分は優等生
だから追い出されないと言い張る。
自信満々の根拠は何だと聞きたい。
 
母にとって最良な施設でなく
娘たちに都合の良い施設を
選ぼうと姉と相談している。
 
老いを受け止め素直に助言に
従っていたら、娘に管理されず
自分らしく生きれたのにね。
母は退き際を間違えました。
 
「誇りを持って脇にどけ」
姉が教えてくれた樹木希林の
言葉がずしりと胸に響きます。