今日は例の監査法人関連記事の振り返りです。
2005年1月19日日経
「監査法人の点検厳しく」

記事の内容については、
おそらく多くの方が目にされていると思います。
「監査法人による内部チェック体制の厳格化」
がメインテーマとなっており、
・監査基準の見直し
・非上場企業も上場企業並みのチェック
・会計士交代の時の仕組み見直し
といった内容になっていました。
この記事について、ちょっと気づいた点を、
つらつらと書いてみようかなと思います。

1 「「監査基準」は金融庁が監査の質を保つため、監査法人が守るべき業務手順などを定めたもの。」

監査論的には、基準設定主体の話ですね。
パブリックセクターとプライベートセクターがあり、
業界内部主体か、業界外部主体かという違いです。
規制強化の方向に進むときは、
パブリックセクター方式が多いといわれますので、
そっちの方向なのかなぁと感じてみたり。

2 「企業会計審議会で基準の見直しに着手、来年度からの適用を目指す。」

つい最近(といっても3年ぐらい前)変更がありましたが、
また見直しが入ってしまうのでしょうか。
独立性と内部統制評価、監査の品質管理については、
より細かくなってきそうな雰囲気です。

3 「まず内容に矛盾がないかなど結果の検証が中心だったチェックの仕組みを見直す。どのような作業を経て結論にたどり着いたのか、経営者に何を質問し、どんな回答を得たかなど、業務のプロセスについて細かく検証するよう義務付ける。」

まずは、監査法人の内部チェックの位置づけの説明です。
A<企業が財務諸表を作成>
   ↓
B<監査担当チームが財務諸表を監査>
   ↓
C<監査チェックチームが監査をチェック>

ここでは、Cの部分が取り上げられています。
内容の整合性といった結果の検証にとどまらず、
財務諸表を妥当と判断した過程についても、
ヒアリングなどで検証する必要があるとのことでしょう。
ただ、従来は行っていなかったわけではなく、
明文化されていなかっただのような。。。
引当金の設定や営業権の償却年数といった、
経営者の判断に関する部分が、
特に重点項目になってきそうな雰囲気を受けました。

4「監査を受ける義務があるのは上場企業約4千社のほか、社債など債券を発行している企業、資本金が5億円以上の株式会社、補助金を受けている各種法人など非上場が6千社以上ある。こうした非上場法人も上場企業と同じ手順を踏んでチェックするよう明記する。」

今回の記事の大きな目玉はこれなんでしょうが、
はっきりいって書き方が。。。
一言でいえば、
「監査報告書対象の内部チェックに際しては、上場企業並みのチェックレベルを義務付ける」
といったところでしょうか。
法定監査の内部チェックのレベルを、
上場企業のチェックレベルまで引き上げたいわけです。
ここで、法定監査の対象ですが、
・証券取引法監査(上場企業がメイン)
・商法特例法監査(非上場の中でも大企業)
・学校法人監査
・労働組合監査
などがあります。
地方公共団体や社会福祉法人、
政党なんかもありましたよね。
これらについても、しっかりチェックせい、
そういうことかと。

さて、ちょっと横道にそれますが、
上場企業以外で羅列されている部分について。
・社債など債券を発行している企業
証券取引法監査の対象ですが、
非上場ということで有名な部分ですね。
発行金額が1億円以上かどうか、
募集人数が50名超えているかどうかなど、
ポイントとされる部分があります。
・資本金が5億円以上の株式会社
商法特例法監査の対象です。
これ以外にも、負債200億円以上もありますね。
・補助金を受けている各種法人
○○法人となっているもので、
根拠法などで監査対象になっているものがあります。

5 「現行では後任から求められた場合のみ伝達すればよいことになっている。」

監査人の交代のときに、
後任の監査人は当然求めるでしょうから、
前任の監査人が隠すケースですかね?
気になる情報ですから、
明文で義務化されたところで、
特に変化はない印象もあります。

ただ、気になる部分としては、
これを義務化しても粉飾が続くことがありえます。
俗にいうオピニオンショッピングの場合であり、
後任の会計士は故意にやっているわけですから、
意味がなくなってしまいます。