先日初開催された武水別神社600
このコースが生まれたか経緯を
当人が忘れないうちに書いておこうと思います。
内容が参考になる人もいるかもしれません。
各団体や個々人で考え方は大きく違うのであくまで筆者自身の考えとなります。
新コース申請
来年度開催される新コースは前年の8月末までに申請して認可されることが必要です。
- 発着場所
- 予定するコントロール(PC)
- ルートと距離GPSのスナップショット
などを決めた状態で申請書を書いて提出。
AJ内部でのチェックを受けてACPに提出し
認定を受ける必要があります。
チェック内容は
- ショートカットが成立しないか?
- コントロールの数が多すぎないか?
- 距離がおかしくないか?
※極端な例として、200kmなのに210kmある。
といったことがチェックされます。
個人的な所感ですが、どれだけ長くても5km台以内にに収めることが重要かなぁと思います。
5kmって信号峠だと20分ぐらいかかりますし、長いのは何よりも「美しくない」ですよね。
AJたまがわの場合、新コース案を事前に内部チェックしてもらい、指摘を受けて修正。
必ず提出前のブラッシュアップが行われます。
このコース自体は2024年の夏にはコースの大枠を決めて提出
コース案自体は2023年のPBP&山伏峠600で踵を痛めて自転車に乗れない暇な時間を使ってコース引いてみて、知り合いに見てもらいつつ、意見をもらってブラッシュアップを重ねていました。
コース設計のきっかけ
そもそものきっかけが、
金町発の600kmで自分が走りたいと思えるコースを作ること。
金町発の600のコースは2022年に開催された長野600があります。
しかし、個人的に苦手な行って来い(同じルートの往復)ではなく、ぐるっとまわるラウンド(周回)コースで600で走りたいと思い、2023年の頭ぐらいから色々考えていました。
BRMで推奨されるのは「往復の行って来い」ですが、わtっしはこんな遠くに来たんだという旅感を感じられる周回の方が好き。
同年に走ったこちらで、長野原に行かずに先に行けば鳥居峠を経て長野県の上田に続いていることを知り、ブルベでは走ったことがないなぁとの思いから、いつか走ってみたいと思っていました。
結構距離はありますが、関東の団体で鳥居峠を使うことがあまりないので、ルート自体に問題がないなら一つのウリになる可能性も。
この辺りも予習でコースを引いたことから、この先ってどうなってるんだろう?
という興味から調べて知識を蓄積。
600としてやるなんてことはまだ、全く考えていませんでした。
上田といえば、上田城ってブルベで近く通るのに毎回立ち寄りが難しい。白馬・木崎湖300や長野600でも行けなかった記憶。
上のR18か下のR18を通すので、上田城は微妙にコース上から離れているんですよね。
せっかくなので、コントロールにして上田城へ来た❗️にしてしまえないかな?
というところもあり、組み合わせの要素として以前から考えていました。
自分が立ち寄りたいポイントをコントロールにするのはあるあるで、他のブルベ走ってて思ったことなどが活かされています。
金町スタートの過去コースからアプローチを確認
ブルベのコースは秘伝のタレみたいなもので、過去開催した時に使ったコースを都度ブラッシュアップして更新。距離も継ぎ足し、継ぎ足しで新しいコースを作って行くケースが多いです。
そこに自分の走った経験を重ねてルートを生み出していきます。
他の団体でいいなと思ったルートは仁義を切ってお借りしたり,情報をもらったり。
走ってて楽しいルートは限られているので、正直そうそう新しいルートの通し方は増えませんし、地方に行くとそもそも選択肢がないケースがほとんどで重複します。
特に遠方のルートであれば、そこを拠点とする団体のコース以上の正解がないことも多く、自分が走る視点で考えても一番良い選択肢であることが多いです。
先人の秘伝のタレを活かして、
その先でテーマとして何を見せたいか?
といった全体を設計していくことになります。
貪欲に設計しても多すぎると消化不良になるので取捨選択も必要。
金町スタートは方向が北か西に向かうルートが一般的で、那須や茨城県といわき方面は船橋スタートですでに定番の600があるので重複するので回避。
千葉の房総方面だったら船橋スタートで作った方が信号峠もなく素直なコースになるので選択肢は入ってきません。
以上のようによりベストな発着は何処かとか,すでにあるコースと重複させないことなどを考えてスタートをチョイスすることになります。
会津を抜けて猪苗代湖などもありますが、距離的にやりたいことができない。
長野方面は長野600と被るけど長野までのアプローチが全く異なるコースで考えようということで試行錯誤が始まりました。
北ヘのアプローチは...
足尾300
ただし粕尾峠超えてから降ってのルートだと距離的に厳しいし、何より粕尾峠の斜度がキツイのでNG。
金精峠400
栃木側から梅田湖をカットして群馬には入れるけど、、、、
金精峠を逆から登るのはコースとして一度作りたいと思ってはいたルート。
明るい金精峠付近は別物なんですよね。
日光に行くにも例幣使街道だと路肩狭いし車い。日光へのアプローチは金精峠の単純な逆回りではイマイチなど悶々と試行錯誤したあげく、過去に出走したAJ宇都宮さんの山岳コース、水上(山岳)300のコースで通ったルートを逆に走れば楽しそうと思い至り、日光〜金精峠までルートを繋げて引いてみました。
こう言った過去走ったパーツを組み合わせて、やりたいこととセットでパズルのように組み上げていくのが自分がコースを引く時のやり方になります。
ちなみに走る方向によってはOK/NGが変わることもあるので、実際見に行くことはとても重要です。
鳥居峠を越えて上田から折り返す
金精峠を逆からで引いてみて、ロックハート城は回避して、足休めはより長い距離が良いよね。自分はこれ以上無駄に登りたくないですし。
となると渋川にコントロールがないとショートカットが成立するのでここまでは大枠のルート確定。
アプローチは自分のヒートマップを見ながら、知っているルートで繋げるし、金精峠で用いる旧街道が好きなのであちらを使いたい。
ここから鳥居峠に行って上田に入り、長野のどこかで折り返し、碓氷バイパスで群馬側に戻ってくれば600は作れそうかも。。。と距離はガバガバですが大枠で形になってきました。
群馬からはどうやって帰る?
碓氷バイパスを降って横川まで降ったあとは、ニコタマ班やAJ埼玉さんでもよく使う定番コースで戻すかつ、せっかくなので小前田(オマエダ)駅を通したい
でもそこからどうやって東まで戻すのかが課題であーでもないこーでもないとルート引いては走りに行って検討していました。
そうこうしているうちに2024年の新コースで青梅300が誕生したことから、東へ戻るルートの選択肢が増えたのもかなりの追い風に。
一発目に形になったコースはこんな感じでした。
上田で寝れば良いので宿泊も問題なし。
碓氷バイパスを越えればあとは下り基調で全ての借金を返済してギリギリゴール。
という感じで建て付けを固めた段階です。
ただこれだと無駄に南に下ることで信号峠や都市部をわざわざ通すので、西から東への戻しとしてはあまりいけていない。
もっときれいに戻せないかなと折り返しポイント含めて検討に入りました。
そこで思いついたのが、埼玉県を通すときにコースに設定したいとずっと温めて、走りに行ってはルートを組み上げていた
広大な農業用の用水路を巡るルートの活用。
それを使いつつ江戸川まで戻って来れば都市部で我慢せずとも気持ちよく走って来れる可能性が高いだろうとGoogleマップも活用しながら、
都度コースを引いてみて走りに行ってはブラッシュアップを繰り返しつつ、実はこう通ったらもっと楽に走れるんじゃないか?みたいなポイントを探して繋ぎ合わせて行きました。
そうこうして出来たコースがこのバージョンです。
まだ武水別神社は居ない状況。
折り返しポイントがキマッテイマセン
折り返しポイントは試行錯誤で、距離が長すぎここだと距離が足りない、適正な距離から逸脱してる...
あーだ、こーだ、やりながら微調整をかけ、ポイントを探します。
上田から千曲行って戻ってくるルートはまっすぐ抜けた先に武水別神社が見えるのが良かったのでクロスで引いていたのですが、小さいクロスはルート間違いの原因になるのでやるべきじゃない。あと美しくない(これはとてもよくわかる)
というアドバイスをもらい修正したコースが上記のコースです。
コース作っている時は近視眼的になりがちなので、指摘されるのが怖い、嫌だなーと思ったり、自分の頑張って考えた新コースをネタバレするのは直前にしたいとか考えがちですが(自分だけかも)
いろんな経験ある人に見てもらったり、地元で土地勘ある人に見てもらいルートの通し方やおすすめのルートなどについてアドバイスをもらいに行くと、ブラッシュアップされることになり、自分が走っても楽しい!、走ってもらっても楽しい!
素晴らしいコースになっていきます。
コースを第三者視点で評価してもらうことはめちゃ重要だと思っています。
閑話休題
武水別神社
千葉さんの土浦スタート スケキヨ600で横を通るコースで横を通って初めて見た時に強烈な印象が残っているお気に入りスポット。
ここで折り返し,しかも自分のお気に入りスポットを他の人にも印象付けることができれば最高だよね!と思い元々は橋を渡ったところにあるセブンイレブンを予定指定していましたが、こちらに変更。
全体のテーマが固まりました。
本来は折り返したいポイントありきでコース決まるのかもしれないですが、こういうケースもあるということで。
早朝スタートにすべきか悩んだのですが
①日光の通過時間(遅いと明智平手前から渋滞)
②明るい金精峠に行きたいよね
③川原や嬬恋の景色が綺麗だったこと
④上田城に明るいうちに着けるかも?
などの視点。
主に①からナイトスタートがベストだなと選択。
初回はナイトスタートのコースとしてリリースしました。
「武水別神社に明るいうちに着けるになっていない理由」は、折り返しポイントのコンセプトが決まったのが最後の最後だからですね😇
ちなみに鳥居峠を越えて鳥居ってテーマも後付けでセットになりました(笑)
コースを引く時に重要なポイント
自分の経験以上のコースって引けないし、何をどう魅せたいかというテーマがないコースはただ走っているだけという状況に陥りがち。
Googleマップのストリートビューで走ったことが全くない道をチェックして決定なんかで出来上がる事は全くないと思います。
実際走ることでこれダメだとか、こっちのルートどうなんだろうと
実際にコース見に行って脇道に逸れた結果。もっといいルートを見つけたりはよくある話。
各所を見に行っておくことは重要で、これは通しで走る後は全く、ちょこちょこ走りに行くことでブラッシュアップされるはず。
むしろ通し1回より、気になるこっちもチェックしておこうなど新しい発見がしやすかったりします。
これをやる時は地図を見ながら走ってGoogleマップでこっちも行けそうだとは見るのが楽しいですね。
今回初600のコース設計で思ったことは遠方はメインルートが限定されるような気がしがちですが、そういった時こそ地元の人に色々聞くべきだと思います。
ここまで色々書きましたが、
自分が走って楽しいコース
であることが一番重要なことです。
自分が走って嫌なルートや車が多くて避けたいルートは人にも走ってもらいたくないのは、当たり前のことですよね。
他にも離脱ポイント
今回は
・金精峠を登る前の日光
・金精峠を登り切って時間余裕が戻ってきてからの渋川(降れば高崎)
・宿泊ポイントを兼ねている上田
あたりを意識して設定しています。
600だと宿泊ポイントの設定も重要300-350の間には設定が必要です。これ無視はちょっとありえないと個人的には思います。
今回は上田(往路)、片倉温泉、上山田温泉、上田(復路)で設定しています。
コース申請したらそれで終わり?いえそんなことはありません
コース自体は8月末に提出していますが、
大枠が決まっただけでこれで完成なんてことは全くありません。
申請したコースはあくまで仮でより走りやすいルートや楽しい方法はないかを、暇を見ては確認して探しに行ったりしていて更新をかけています。
年始には下記に更新をしていたり
出走予定だったコースが自分が引いていたルートよりめちゃくちゃ良かった(地元スペシャル)だったので、コース設計の方に許可をもらって一部トレースをしたルートに変更させてもらいました(渋川〜長野原間)
これは悔しいけど、地元じゃないと引けないルート。いいものは貪欲に吸収して走ってて楽しいコースにブラッシュアップ。
該当のブルベは出走予定だったんですが、家庭都合でDNSになり、直接お礼が言えなかったのが残念。
コントロール含め結構入れ替わっています。
(🟦が最終ルート)
最終的にはこのコースで確定しています。
自分はこの段階でグルメポイントなどをPOIで打ちまくっているので、
あとゲキザカが嫌いなので、今回のコースは全体で見ても登りますが斜度10%を超えるところは本当にほとんどありません。
筑波連山縦走は登るコースの練習目的のコース&元コースの復刻なので、あれは別口...ということで。
コースの変遷など
いいルートなんかは実際に走り込みに行って初めて見つけたりするので、目的を持ったサイクリングとしてポンと空いた週末にコースチェックという目的を持って走りに行くことに繋がりますし、サイクリングを楽しむ目的が増える体験になると思います。
ボツも沢山出ますが、それだけより良いものに仕上がっていく磨き上げの工程だからこそに楽しみがあるんですよね。
🟦青 最終ルート
🟥赤 最終一個前ルート
🩶グレー それ以前過のルート
になっています。
上田近辺はこのように変わっています。
最終的には千曲川沿いのルートを活用
熊谷のルートも色々試行錯誤して田んぼを最短で走行できる道を探してきたり
(元々のルートは舗装になっていたが未舗装だった)
最終コントロールを影響がない範囲で変更。
R125まで信号レスで合流出来ることで、元のルートは信号も車も多く、自分がイマイチ納得出来てなかったルートだったので、納得いく形で繋がった時に、アハ体験で脳汁が出てテンションがヤバかったり。
コントロールは基本申請時の都市内に収まっている必要があります。コンビニのコントロール利用についてコンビニ挨拶でNGとなった場合は横の都市になるケースもあります。
今回初めて公開したルートの変遷を重ねてみると段階を経てどんな感じに変わったか、などがよくわかると思います。
もちろん本開催が終わってからこそ出てくるブラッシュアップが必要なポイントもありますのでこれで終わりではなく、さらなる磨き込みポイントが出てくるのも楽しいですね。
別の方がメインで担当してくれるなら、その方視点での改良などが加わっていくことで、
あの団体の定番コースはめちゃくちゃ楽しい😆
へと昇華されていくことになるのだ思います。
後発ルートは正直既に何処かで開催されたルートと同じところを通りますし、ネタも被っていきます。
ただ、似たようなコースなのにこっちの方が楽しかったという体験をされたことがあるのであれば、きっと間違いなくコースに設計やブラッシュアップの積み重ねなどがその差に繋がっているのだと思います。
他にも経験値の高い方のダメ出しはマジで具体的で実践的かつ、こっちのルートの方がいいといった解決策とセットなので、コース作成に興味がある方は自分が引いたコースを人に見てもらう経験は積んでいった方が、絶対に良いです。
ちなみに武水別神社600は
周りの評価も自分の評価でも
ナイトスタートでキツイ
初日に登りが多い
二つセットで誰もが完走できるコースではない
という万人ウケするコースではないです、
その分2日目に時間通り起きらられればほぼ勝ち確を意識しています。
寝坊峠が今回のDNFで一番多かったです。
それだけ初日がタフなんですけど。
ここもコースコンセプトだったりします。
起きられれば勝ち確だ...
最後に
各種コースについて予習する際に、このコースはなんでここ通すと決めたんだろう?
など考えながらルートを予習すると新しい楽しみ方が増えるのではないかと思います。
慣れてくると、ちゃんと走った事がある?
ルートただ引いただけのコースじゃないの?
という情報から、「楽しくないコース」を判別できるようになるかもですね。
余談ですが一般にキューシートもGPSも公開しないで募集するのは不誠実だと、個人的には思います。
ルートを画像だけ
というのは正直、楽しくない、ただ引いただけといったコースに多いイメージがあります。
あのコースGPS見たけどきつそう、キューシート参考に引いてみたけどキツそうってなどの評価してもらってからエントリーを決めれるのが理想じゃないかなと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。















