大学1年生が終わった3月
息子から、私たち夫婦に2枚のチケットが手渡されました。
それは──
なんと 息子自身のライブコンサートのチケット
。
まさか、こんなにきちんとしたスタジオでライブをするなんて
思いもしませんでした。
あの小さかった子が、こんな舞台に立つ日が来るなんて。
一人でコンサートを開くという“重さ”
ただ、正直に言うと── 一人でコンサートを開くというのは、気持ち的にも相当な負担だったと思います。
会場は満席。
チケットを売る技術。
バックで演奏してくれるバンドメンバー。
会場整備やスタッフさんたち。
そのすべてが、プロデューサーさんのお膳立てでした。
そしてその代わりに、 ギャラはほとんど入らない。
音楽の世界の厳しさを、親としてもひしひしと感じました。
家族がスタッフの役割を担うことはできない
もし息子が「一人で頑張る」方向に進むなら、 このスタッフの仕事を家族が担うなんて、到底できません。
そもそも、チケットを売る段階で友達が減ってしまう可能性だってある。
音楽活動は、華やかに見えても裏側は本当に大変です。
コンサートが始まり、息子は12曲を弾ききった
そして、いよいよコンサートがスタート。
息子は 10曲+アンコール2曲 を最後まで弾ききりました。
この日のために、一日中練習していた日もありました。 精一杯やりきる姿を見て、私たちも胸がいっぱいになりました。
「頑張った!」
ステージを終えた息子を見て、心から思いました。
頑張った。 よくやった。
こんなことができるなんて、本当にすごい。
でも── ふと、心の奥で別の感情が動きました。
この先のことが、聞かなくても分かった瞬間
ステージを終えた息子
そして私自身“この先どうするのか”が手に取るように分かりました。
夢に憧れ、 夢に向かって行動し、
現実という波が押し寄せ、
その波にどっぷり浸かり──
そして、潮が引いたあとの静かな気持ちとして、 息子・わたしの心に浮かんだ言葉はきっとこれでした。
「もう、お金は稼がなくてもいい。 音楽は、自分のそばにいてくれる存在であればそれでいい。」
誰に「やめろ」と言われなくても、
誰に「無理だ」と言われなくても、
自然で悟った瞬間でした。
その時、私自身の“スポットライト症候群”も、 すーっと溶けていくのが分かりました。
やっと苦しみから解き放たれた心の軽さでした
。
そして2年後の決断
その後、プロデューサーさんから息子に 「本気で続けるなら、就活はしないでほしい」 という選択肢が提示されました。
息子はその言葉を受けて、 とてもさっぱりした心で決断しました。
大学2年生からは、
就職準備のために海外ボランティアへ行き、 英語留学をし、
自分の未来を自分の手で選ぶ道へ進んでいきました。



