息子が「音楽高校」と書いた日のこと
軽めの記事が続きましたが、また、少しずつピアノの振り返りをしていきますね。
息子が高校受験の第一希望欄に「音楽高校」と書いた日。 「この子は本当に音楽が好きなんだ」 そう思うと、なんだか“落ち着くところに落ち着いた”ような気持ちになりました。 見学にも行きましたし、体験学習にも参加しました。 校舎の雰囲気や、学内のイベント・・そのすべてが、息子の未来の学園生活として自然に思い描けて、 私もどこかワクワクしていました。
ピアノの先生からの“まさかの一時間反対”
その後、ピアノの先生に相談したところ、 電話がかかってきて、まさかの一時間以上の“全力反対”。
内容は書けないほど重かったのですが、 先生ははっきりとこう言いました。
「ピアニストという資格はないから。 ピアニストになりたいなら、いつでもなれる。 だから今は学業に専念してください。」
厳しい言葉でしたが、 息子が傷つかないように、進路の責任を少し肩代わりしてくれたような、 そんな優しさも感じました。
それでも胸の奥に残った“小さな喪失感”
息子が書いた「音楽高校」という文字が、静かに消えていくような気がして。 親子で見てきた舞台の光が、少し遠ざかるような気がして。 自分の中の“音楽の未来像”が、そっと幕を閉じるような感覚でした。
思春期の息子と先生の関係
中学3年のころ、息子は思春期の悩みをピアノの先生に相談していて、 将来のこともよく話していたようです。 先生は音楽だけでなく、人生のことまで寄り添ってくれる存在でした。
先生の生徒さんは高学歴の子が多く、受験期になるとピアノではなく英語を教えることもあるそうで、 息子もその流れで英語を習っていました。きっと息子自身も、より高い志望校を自分の意思で見据えながら、新しい目標をしっかりと立てていたのだと思います。
🌱 母として“追いかけない”選択をした日々
私自身はというと、ピアノを頑張ってほしい気持ちはありつつ、 息子が勉強を始めると、まるで鬼ごっこの「高おに」のように 追いかけないようにしていました。
コンクールのことを考えても、 息子が勉強をしだすと 「言ってはならない、引き下がれ」 と、もう一人の自分が言っていました。
追いかけたいのに追いかけられない。
息子の青春の領域に入らない。
何があっても口出ししないと決めていました。
🎺 息子が選んだ道と、心に残った“残響”
そして息子が選んだのは、大学付属高校。 吹奏楽も学校生活も受験も、どれも不満はありませんでした。
矛盾をしていますが、それはそれで、新たな世界観を感じて嬉しかったです。
それでも、心のどこかには小さな声が残っていました。
(ね、ピアノはどうするの?)
これは執着ではなく、ただの“愛情の残響”なんだと思います。
音楽は、息子と私が長い時間をかけて共有してきた、大切な物語。
だからこそ、その時は、完全に手放すことはできない。
でね、息子が進路希望を出した音楽高校に、ヤマハの同期の子が進学すると聞いたとき。 胸の奥が、ちょっとだけチクッとしました。 やっぱり羨ましかったんです。
当時の私は、「言わない」「触れない」「何ともない」と自分に言い聞かせていました。
母としての理性で押さえていたけれど、正直な気持ちはやっぱりそこにありました。
音楽の道を選んだ子がいる。 その姿が、ほんの少しだけ眩しく見えたのだと思います。

