ピアノ・吹奏楽・受験…息子は3つの世界を同時に走っていた
中学生になった息子は、 ピアノ、吹奏楽部、そして受験勉強── まるで3本のレーンを同時に走るような毎日でした。
その姿を見ているうちに、私はふと考えるようになったんです。
「この子の音楽、将来の仕事につながらないかな…?」
母としての“ちょっとした欲”と“ちょっとした期待”が、 静かに芽を出し始めた瞬間でした。
音楽の仕事って、実際どうなの?と本気で調べ始める
まず考えたのは、王道の 音大進学 → 演奏家の道。
でも、調べてみると…
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リサイタルってどれくらい収益があるの?
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自分で開催するなら、どんな手順?
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スタッフって何人必要?
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そもそも仕事はあるの?
華やかに見える世界の裏側には、 意外と“現実的な数字”が並んでいました。
「音楽の道って、思っていたよりも複雑なんだな…」 そんな気づきが増えていきました。
ピアノ留学というロマン…しかし6本柱の壁が高い
次に考えたのは 海外留学。 響きは最高。ロマンもある。
でも、必要なのはこの6本柱。
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実技力
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語学力
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書類準備
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受験(実技+面接)
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ビザ手続き
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資金計画
「え、これ…親の私が留学するんじゃないよね?」 と一瞬ツッコミたくなるほど、ハードルが高い。
ロマンと現実のギャップに、思わずため息が出ました。
ピアニストが難しければ、教師という道もある
もし演奏家が難しいなら、 音楽教師という選択肢もあります。
ただし、正規採用を目指すなら 「一般教養+教職教養」の採用試験を突破しなければならない。
一般教養は「簡単だよ」という人もいれば、 音楽一筋で来た人には 「え、これ別の世界の言語?」 というレベルの壁になることも。
現実はなかなか複雑です。
そして、母がちょっと憧れていた“ヤマハ講師”
正直に言うと、私はヤマハ講師に少し憧れていました。
アンサンブルの高揚感。 自分でスコアを書いて、編曲して、子どもたちを輝かせる。
表向きはキラキラしていて、 「これ、私がやりたいかも…」 と一瞬思うほど魅力的。
でも、家庭を支えながら働くとなると、 年収面ではなかなか厳しい現実もある。
“好き”だけでは続けられない世界だということも知りました。
希望と現実が同時に存在する「二重拘束」
この“希望”と“現実”が同時に存在する状態を、 心理学では 二重拘束(double bind) と呼ぶそうです。
なるほど、そりゃ心も疲れます。 だって、どちらも本気なんですから。
息子の未来を考えるとワクワクする。 でも、現実を知ると慎重になる。
その両方が同時に胸の中にある── そんな時期でした。
そして、高校受験の願書に「音楽高校」と書いた息子
そんなある日、息子が高校受験の第一希望欄に 「音楽高校」 と書いて、ピアノの先生に相談したのです。
(つづく)

