宇野千代の「生きていく私」
以前も一度読んだのですが、読み出したら止まらない本です。世の中には、「生きる才能」がある人がいるんだなあ、とつくづく思う。天真爛漫だから自分に満足している文章も微笑ましいし、何よりものすごいエネルギーで仕事から仕事、場所から場所、オトコからオトコ(それも才能のあるのばっかり)へと怒涛のごとく動いていくのに圧倒されます。一人でいくつもの人生を生きているようで、うらやましくもある。まあエネルギーだけではなく、類まれな文才やデザイナーのセンスなど常人にはない才能に恵まれていたからなんでしょうけれど。
嫌なことは綺麗に忘れ(これはすごい才能だ)、何があってもあっという間に立ち直り、いつでも夢中になれることが山ほどあって全力で走っていた人なんだなあ、と思います。周りはふりまわされて大変だったろうけど。
それにしてもこれはすごい!と思う部分の引用
「私はいつでも、風呂から上がると、ちょっとの間、鏡の前に立って、自分の裸の体を見る。タオルを前に当てて、少し腰をひねるように曲げて、立っている。湯上りの体は、ぽっとあからんだ肌をしている。<似てる>と思う。ボッチチェリのヴィーナスの画に似ている、と思う。」
このとき70歳過ぎ!これはすごい。こういう天衣無縫さは、なんだか嬉しくなって笑ってしまいます。70歳のヴィーナスでもいいじゃないね。
幸せに生きていくのは自分次第なのだ、と示唆される本です。そしてなにより、とにかく面白い。