セビリアのセマナ・サンタについては、 ナサレノ
の話を以前少しいたしましたが、いよいよ9日の日曜日から本番となっております。この記事を書いている今、スペイン時間で11日の朝2時半ですが、まだ外では行進の音楽が遠くに響いているという・・・このとてつもなく、なんとも常識では説明できないような大イベントをぜひご紹介したいのですが(私もあまり詳しくはないのですけれど)、どこから手をつけていいものやら。何度かにわけて、少しずつお話できればと思います。
昨日(というかもう一昨日ですね)の日曜日はDomingo de Ramos、直訳すれば(椰子の)枝の日曜日、なのですが、セビリアの聖週間、セマナ・サンタはこの日からはじまります。スペイン中が「一番すごい」と認めるセビリアのセマナ・サンタですが、何がそんなにすごいのかというと、プロセッションと呼ばれる行進の数がとにかく飛びぬけて多いのです。一週間でほぼ60、一日8つか9つの大掛かりな行進が、街中を練り歩きます。
このプロセッションや、ナサレノその他セマナ・サンタの主人公たちについては、またその全体をまとめてご紹介できればと思います。ちなみにこの日曜日はいいお天気だったため、La Borriquita, Jesus Despojado, La Paz, La Cena, La Hiniesta, San Roque, La Estrella, La Amargura, El Amorの9つのプロセッションがすべて行われました。高価な彫刻などを掲げて練り歩くため、少しでも雨模様になると全部中止になってしまい、一年間プロセッションの準備をしてきた地域の青年団長の男泣きがテレビに映し出されたりして、いやもう大変なことになるのです。
ずらずらと街中を練り歩くプロセッションと、セビリアおよび近辺の村中から詰め掛ける見物客のおかげで、この一週間、セビリアの交通は大混乱をきたします。かなり精密な時間割およびプロセッションの道筋を書いた地図が売り出され、これがないとどこにもいけません。結構アタマの痛くなることも多いのですが、それでもなんとなくこの熱気にはまってしまう、セマナ・サンタはいったいなんなのか。
日曜の晩、食事に出ようかと連れとふらふら歩いていたら、案の定プロセッションに出くわしてしまいました。否応なく、すべて通り過ぎるまで立ち往生、じっくり見物することになったので少しご紹介いたしましょう。これはLa Amarguraというプロセッションです。
先頭は十字を掲げたナサレノです。このプロセッションのナサレノはすべて白衣に赤の紋章、蝋燭も白で統一されています。資料によればナサレノの数は合計800人、プロセッションがすべて通り過ぎるのに35分から45分かかります。どうりで最後は真っ暗になっていました。
ナサレノのアップ。迫力ありますよね。私は結構好きなのですが、そういう問題でもないかも。
薄暗くなってくると、蝋燭をともします。この蝋燭のたれてきている部分をモコといって、子供たちはこれを集めてボール型にしたりします。ナサレノは蝋燭のカスのほかに子供に飴をあげたりすることもあり、コワモテの割りには結構親切です。
動いているところをとったため、ぶれていてごめんなさい。これが一つ目のパソ、御神輿ですね。キリストとローマ兵の彫像が見えます。彫刻は大体すべて木彫りですが、衣装や髪は「本物らしらを出すため」本物を使っていたりします。本物の髪ですよ!ちょっと怖い。でもこの彫刻は髪の毛は本物ではなかったと思います。このパソは、資料によれば(こんな資料が新聞に毎日ついてくるのです・・・)48人で担いでいるようです。ちなみにキリスト像は1698年の作とあります。古いですね。かなり新しい彫刻も多いのですが。
後ろ側。パソは彫刻だけでなく、パソそのもの(台座、というんでしょうか)も意匠を凝らしたものが多く、今でもこれを作っている工房があります。まあ需要があるんだから当たり前なんですかねえ。大体一つ目のパソ(キリスト像)は金色、二つ目のパソ(マリア像)は銀色のことが多いです。時々木製の渋いのも見かけます。
こちらは帽子がたれていますね。ナサレノではなく、ペニテンテスといいます。十字架を背負っているのが見えるでしょうか。
夕闇の中のプロセッション。蝋燭や蜀台の灯りが綺麗というか、怖いというか。なんとも中世じみていいます。実際に目の前で見ていても、これが現代のヨーロッパとはちょっと信じがたい。
蝋燭とナサレノのアップ。かっこいいなあ・・・と私は思います。が、どうしても彼らの心境がわからん。
コスタレロ。パソを担ぐ人たちです。プロセッションの間何度か交代して、何時間にもわたる行程を歩くのです。以前セビリア出身の知人に、あんな重そうなものを担いでもらうなんて教会もお金を出して人を雇うの、と聞いて笑われたことがあります。こちらからお金を出して担がせてもらうのだそうで・・・キリストやマリアを担げば、贖罪になる、ということなのでしょうか。
二つ目のパソ。もうすっかり日が暮れてしまいました。二つ目のパソは通常マリア像です。蝋燭が何重にも立てられ、その向うに飾り立てられたマリアの像が置かれます。裳裾の長い衣装は本物の布にすばらしい刺繍を施したものです。木像に本物そっくりに彩色してありますが、木の部分は手と顔だけ、あとは衣装で見えないので中は骨組みだけです。資料によれば、このパソは36人のコスタレロで担いでいます。
もの哀しい楽隊の音楽に合わせてマリアが通り過ぎてしまうと、プロセッションは終わりです。人でごったがえしていた道を、ようやく通ることができるようになります。
うーん、長々と書いてしまいましたがプロセッションのものすごさを少し感じていただけたでしょうか。これで40分間くらい足止めをくらうので、並じゃないです(通り抜けようとすると見ている人に怒られる)。それでもなんとなくはまってしまうのです。恐るべしセマナ・サンタ。