ストレス社会の現代、人間はもちろん、犬も『心の病気』にかかることがあります。

もしも犬が『心の病気』にかかってしまった場合、どのような症状が見られるのでしょうか。

今回は犬が『心の病気』にかかっている時の症状を5つご紹介します。

 
 

犬の『心の病気』とは?

 

仕事や人間関係など、ストレス社会と言われている現代では、誰しも心の病気を患うリスクを抱えています。

しかし、それは人間だけではありません。犬も『心の病気』にかかることがあるのです。

 

例えば、近年核家族化が一般的になったことに加え、飼い主が共働きをする家庭が増えたため、1匹で留守番する犬が増えています。

そのため、寂しさからストレスを強く感じ、『心の病気』にかかることがあります。

 

また、犬に過剰な愛情を注いだために、犬自身も飼い主依存症と言われる『分離不安』に陥り、飼い主の姿が見えないだけで強い不安や恐怖感に襲われる心の病気にかかることが増えているのです。

 

こうした心の病気がエスカレートすることで、犬も自傷行為に至るケースが珍しくありません。

心の病気は放置してはいけない、今では見過ごすことのできない重大な病気の1つでもあります。

 

 

犬が『心の病気』にかかっている時の症状

 

では、そんな犬の『心の病気』ですが、もしも犬が病気を患ってしまった場合、どのような症状が現れるのでしょうか。

皆さんの愛犬は下記のような症状を発症していませんか?

 

1.破壊行為を行う

 

1つ目は破壊行為です。

今までは良い子だった犬が、突然ドアを破壊したり、物を高いところから落として壊したりと破壊行為を繰り返す場合、強いストレスによって『心の病気』にかかっている可能性があります。

 

破壊行為をすることで、イライラや寂しさを紛らわすことができるため、このような行為を繰り返すのです。

 

無闇に怒鳴り散らしたりすると逆効果なので、黙々と片付け、しばらくその部屋から立ち去り、良い子になったらスキンシップを取ってあげるように、対応を心掛けましょう。

 

 

 

監修獣医師による補足

このような行動を引き起こす背景には、飼い主家族と犬との間の関係性が問題になることがあります。例えば、いつも一緒にいるような状態から急に犬が長時間一人にされるなどの急激な環境の変化が、犬には理解できず、急に相手にされなくなってしまったと勘違いしてしまうことがあります。このような、状況が起こらないようにするには、適切な距離感をもって接することが大切になります。

獣医師:平松育子

 

 

2.下痢や嘔吐を繰り返す

人間も強いストレスがかかると急性胃腸炎と呼ばれる症状を発症します。

犬も同じように『心の病気』にかかると下痢や嘔吐を繰り返すことがあります。

 

下痢や嘔吐は1度くらいであれば様子を見る程度で問題ありません。

しかし、何度も繰り返す場合は、何かしらの原因が考えられます。

その1つとして『心の病気(強いストレス)』が挙げられます。

 

他にも食中毒などの原因が考えられるので、あまりにも繰り返し嘔吐や下痢を繰り返す場合は、病院へ連れて行きましょう。

 

3.手足を執拗に舐め続ける

前足を舐める柴犬

 

「なんだか静かだなぁ」と思い愛犬を見ると、ずっとぺちゃぺちゃと自分の前足を舐めていた…ということはありませんか?

実はこれも『心の病気』にかかっているサインの1つです。

それも、かなり強いストレスを抱えている可能性があります。

 

この行為は、犬にとっての自傷行為とも言われています。

なぜならば、前足を執拗に舐め続けることで皮膚炎を発症し、皮膚がただれてしまう恐れがあるからです。

 

執拗に同じ行為を繰り返すことで、心の強い不安を紛らわしているのです。

主に「寂しい」という理由が多いので、きちんとコミュニケーションを取るよう接し方を見直しましょう。

 

 

4.吠え続ける

ある日突然、愛犬が吠えるようになったという話は珍しくありません。これもストレスや不安などの『心の病気』が関係していることがあります。

 

特に、自分が生活している環境に変化があると、犬は過剰に反応します。例えば、引っ越しをした、赤ちゃんが家にやってきた、新しく子犬が迎えられた…等が挙げられます。

 

情緒が不安定になっているため、本来持つ犬の本能的な行動をすることで、ストレスを発散させているのです。

 

 

5.トイレの失敗が増える

『心の病気』にかかると、今までは完璧にできていたトイレを途端に失敗するというのもよくあります。このパターンは2つの理由が考えられます。

 

1つは強い不安や恐怖によって、おしっこをトイレでするということを考える余裕がなくなっている可能性です。

もう1つは、飼い主が構ってくれないため、飼い主の気を引くためにわざと失敗している可能性です。

 

愛犬の様子や環境の変化などを考慮し、どちらに当てはまるかを考え、それぞれに合った対処法を実行することで直すことができますよ。

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

皆さんの愛犬は『心の病気』に当てはまる症状は見られませんか?もしも当てはまるようであれば、生活環境や普段の接し方などを見直す必要があります。

お互い快適に過ごせる環境作りを心掛けましょう。

 

 

 

記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (ふくふく動物病院 院長)

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。